上海万博博物館、大阪で「女性のパワー」を発信
大阪・関西万博が閉幕を目前に控える10月7日午後、上海を拠点とする上海万博博物館(中国語名称:世博会博物館)と博覧会国際事務局(BIE)は大阪・関西万博の「ウーマンズパビリオン」において、「未来に力をーー万博で活躍する女性たち」をテーマとするハイレベル対話を共同開催しました。

イベント会場の様子(写真・上海万博博物館)
この対話は、万博というプラットフォームを通じて、世界の女性のエンパワーメント(社会的地位向上)と包摂的発展への関心を高めることを目的とし、女性がイノベーションと協働を通じて持続可能な未来社会をどのように創り出していくかを探るものでした。大阪・関西万博の出展国・機関の代表、万博専門家・学識者、企業リーダー、大学生、来場者代表など、約100名が一堂に会し、このイベントに参加しました。
上海万博博物館の劉文涛館長はあいさつの中で、「未来を見据えると、万博は『女性のパワー』のためにどのようなプラットフォームを構築できるのか。より包摂的、公平で持続可能な未来社会の実現に向けて、どのような貢献ができるのか。これらの問いを胸に、上海万博博物館と博覧会国際事務局は本日のイベントを共同で企画しました」と述べました。

あいさつをする上海万博博物館の劉文涛館長(写真・上海万博博物館)
対話のセッションでは、京都大学教授で「万博学研究会」を立ち上げた佐野真由子氏が司会を務めました。カナダパビリオンの代表ロリー・ピーターズ氏、リベリアパビリオンの代表ジュリー・アンディ氏、ジャマイカパビリオンの代表モーリーン・スミス氏、大阪・関西万博の「静けさの森」アートプロジェクトのキュレーターであり、金沢21世紀美術館元館長の長谷川佑子氏が登壇し、それぞれの万博に関する自身の経験をもとに、見解やビジョンを共有しました。

対話に参加した各国のゲスト(写真・上海万博博物館)
大阪・関西万博の「静けさの森」アートプロジェクトのキュレーターである長谷川佑子氏は、長年にわたり博物館でキュレーターを務め、研究と複数の国際プロジェクトの企画に携わってきました。彼女は、女性芸術家が重要な議題に参加する機会を広げること、そして、美術展を通じて忘れ去られた女性芸術家たちを再発見することを目指しています。同時に、若手女性芸術家の成長支援にも努めています。

大阪・関西万博の「静けさの森」アートプロジェクト・キュレーター、金沢21世紀美術館元館長、長谷川佑子氏(写真・上海万博博物館)
ディミトリ・ケルケンツェスBIE事務局長は「ウーマンズパビリオン」および今回の対話イベントを高く評価し、「1873年のウィーン万国博覧会で初めて『ウーマンズパビリオン』が設置されて以来、女性の声・リーダーシップ・行動力は、万博の物語を紡ぎ続けてきました。女性が万博で果たした役割は、歴史に刻まれているだけではなく、私たちの未来にも深く関わっています」と述べました。

ディミトリ・ケルケンツェスBIE事務局長(写真・上海万博博物館)
この対話イベントが開催された会場は大阪・関西万博の「ウーマンズパビリオン」です。このパビリオンは2020年ドバイ万博の「ウーマンズパビリオン」の理念を受け継ぎ、世界の発展を推進し、ジェンダー平等を促進し、新しい世代を導く上で、女性が果たした重要な役割を顕彰することを目的としています。パビリオン本体はドバイ万博の日本館で使用されたファサードを再利用したもので、永山佑子氏が設計した白い建物は、金属の組子構造で作られており、日本の組子細工と伝統的な折り紙工芸から着想を得たものです。館内では、異なる地域・年齢・背景をもつ3人の女性がそれぞれの人生経験を語ることで、女性のもつ生命力と無限の可能性を来場者に伝えています。

大阪・関西万博の「ウーマンズパビリオン」(写真・上海万博博物館)
2025年大阪・関西万博は、国連の持続可能な発展目標(SDGs)の実現促進を使命としています。その中で、ジェンダー平等は、持続可能な発展目標の重要な一部として、社会の発展、経済の成長と環境の持続可能性を支える中核的な柱となっています。上海に本部を置く上海万博博物館は、この大阪・関西万博の使命に積極的に呼応し、展覧やイベントなどの形式を通じて、持続可能な発展に関する議論と交流を推進しています。
出典:上観新聞、新民晩報