6G産業を育成、次世代移動通信の「天地一体化」の実現へ=上海松江区

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11月13日に「奮い立って新たな道のりへ——6 G標準仕様のフロンティアを展望」をテーマとした2024世界6G発展大会が上海松江区で開催されました。これまで3年連続で開催されてきた当該会議は、中国の6G(第6世代移動通信技術)分野において、技術カバレッジが最も包括的で、専門レベルが最も高く、そして最も影響力のある国際イベントであり、今年は中国、米国、フランス、フィンランド、イタリア、日本、韓国などの国と地域から多くの業界関係者が参加しました。中には中国国内の6 G技術のトップ専門家、3GPP TSG SAの議長、欧州6Gスマートネットワーク・サービス産業協会の会長、韓国6Gフォーラム実行委員会主席など多くの権威ある専門家が含まれます。

上海松江区を開催地に選定した理由は、6Gの未来産業をここで育んでいるからです。創遠信科(Transcom)、上海垣信衛星科技(垣信衛星)などの中国国内6G産業のリーディングカンパニーがここで設立された一方、松江区政府は上海市科学委員会の支援を受けて6G-AIバレー(Shanghai 6G-AI Valley)を建設し、中国5G-Aと6G分野における「端末チップ+システム全体」のイノベーションクラスターを育成し、コア技術成果の転化を促進し、ガゼル企業及びユニコーン企業をインキュベートすることを目標としています。

6Gアプリケーションシナリオ用のテストソリューションを開発

5Gと比べて、次世代移動通信技術の特徴は何でしょう。昨年11月、国際電気通信連合(ITU )はIMT-2030(6G)のグローバルビジョンについて合意を達成し、6G技術の15種類の性能を確定しました。そのうち、9種類は5G性能の高度化で、また、没入感のある通信、大規模通信、高信頼低遅延通信、AIセンシングと通信の融合、知覚と通信の融合、ユビキタスネットワークといった6種類のアプリケーションシナリオも取り上げられました。

2024世界6G発展大会で講演を行っている王志勤氏(写真・上観新聞)

この6つのシナリオのうち、AIセンシングと通信の融合、知覚と通信の融合、ユビキタスネットワークは6G特有の3つのシーンです」と中国情報通信研究院の副院長、IMT-2030(6G)推進チーム長の王志勤氏はインタビューで語りました。この3つのシナリオは、人工知能が6G発展のベースとなり、「通感融合」(通信と知覚の融合)は物理世界のデジタル化と知能化を加速させ、ユビキタスネットワークは「天地一体化」のグローバルシームレスなカバレッジを実現することを意味します。

創遠信科が2024世界6G発展大会で示した研究開発成果は、「天地一体化」という技術発展の動向を反映しています。大会展示エリアでは、この企業が開発した「低軌道衛星ネットワーク性能モニターリング・テスティングソリューション」と「mmWave 5G空地一体化テスティングシステム」に多くの来場者が足を止めました。創遠信科の馮躍軍董事長は、「天地一体化」通信ネットワークにおいて、低軌道衛星コンステレーションは重要な役割を果たしており、4G/5Gの地上局がカバーできていない遠隔地まで電波を届けることが可能なので、電子機器が世界のどこでもブロードバンドにアクセスできるようになります。

今年の8月と10月に、中国初の低軌道大型衛星インターネット「千帆星座」が打ち上げに2回成功し、36機のブロードバンド通信衛星が軌道に投入されました。垣信衛星は来年から、世界中で「千帆星座」に基づくインターネットサービスを提供する予定です。

ハードテクノロジー企業にフルチェーンサービスを提供

計画によると、2025年から2027年は世界の6G標準仕様の研究段階となります。 2027-2029は、標準仕様の初期バージョンの形成段階です。 2030年頃には、6Gが商用化の段階に入る見込み。 専門家は、6Gのデータ転送速度が5Gの50倍に到達可能、遅延は5Gの1/10に短縮され、ピークレート、遅延、トラフィック密度、接続密度、およびスペクトル効率の点で5Gよりもはるかに優れると予測しました。

莫大な生産価値を持つこの未来産業に向け、松江区は積極的に働きかけており、6G-AIバレーはすでに一定の規模を成し遂げています。このインキュベーターには約15000平方メートルのスペースを持ち、展示スペース、6G革新ラボ、創業・イノベーションサービスセンター、6Gプロジェクトインキュベーションスペースなどの複数の機能エリアに分かれており、技術研究開発からプロモーションまでのフルチェーンサービスを提供しています。

6G-AIバレーの展示スペース(撮影・兪陶然/上観新聞)

6G応用の未来を展望すると、中国工程院院士、ブロードバンド情報ネットワーク専門家の邬賀銓氏は大会演説の中で、5Gの経験を生かして、6G端末製品の多様的な開発を推進し、6Gネットワークが民衆と産業の需要に合わせたサービスの提供を基本とする必要があり、産業界と科学技術業界は6Gネットワークに適した端末を開発し、4Gネットワークがショートビデオの流行に繋がったように、新しい移動通信業態を生み出して、多くの人に素晴らしいユーザー体験を提供しなければなりませんと述べました。

情報源:上観新聞(Shanghai Observer)