協力が新たな段階へ 複数の多国籍自動車メーカーが対中投資を拡大
2025上海モーターショーは4月23日に開幕しました。会期は10日間、27日からは一般公開日です。今回のモーターショーは、世界の自動車メーカーがスマート化・電動化技術を披露する重要な舞台として位置づけられています。世界経済情勢の複雑性と変動性が高まる背景においても、複数の多国籍自動車メーカーが中国市場をグローバル展開における戦略的重点と位置づけ、中国への投資を積極的に拡大しています。
上海モーターショー2025のトヨタ自動車ブース(写真・上観新聞)
モーターショー期間中、トヨタ自動車が相次いで重要な企業戦略を決定し、上海市人民政府と戦略的連携協定を締結しただけでなく、上海に高級車ブランド「レクサス」の独資工場も設立することにしました。また、中国で世界初の「リージョナル・チーフ・エンジニア(RCE)」制度を導入すると発表しました。これにより、中国現地のエンジニアが初めて新製品開発の主導権を握ることになります。
上海モーターショー2025のレクサスブース(写真・VCG)
トヨタ自動車(中国)投資有限公司の李暉総経理は、「この取り組みの目的は、中国消費者のニーズに応えながら、トヨタのブランド理念を損なわない車両を開発することだ。今後、自社の技術を世界に還元し、トヨタのグローバル電動化推進に貢献していく」と述べました。
BMWブースでは、同社の上海開発チームの主導で開発された「BMW パノラミック iDrive」がアジアにおいて初披露され、運転体験をより直感的で快適なものへと進化させています。この新技術は今年末までに量産化を実現し、欧州の生産拠点へ逆供給される予定だということです。
BMWグループのオリバー・ツィプセ取締役会長はインタビュー取材に対し、「我々は中国に海外最大の研究開発センターを設立し、3000名を超えるエンジニアが自動運転技術とデジタルユーザーインターフェースの開発に専念している。しかも、複数の現地パートナーと連携し、最先端のAI技術を自動車製品に統合している」と述べました。
ドイツのフォルクスワーゲンは「In China, for China(中国にて、中国のため)」戦略の初成果として、過去最多となる新エネルギー車種を披露しました。フォルクスワーゲングループのオリバー・ブルーメCEOは、「中国の自動車市場は驚異的なイノベーション速度で急成長しており、特にインテリジェント・コネクテッド・ビークル分野の成長が著しい。当社グループがこの変革の流れに深く関与している」と述べました。
アウディと上海汽車集団(SAIC)の提携は新たな進展を遂げ、中国の道路環境に特化した新型シャーシを披露しただけでなく、さらに上海汽車と共同で次世代インテリジェントプラットフォームを開発しました。アウディ・上海汽車提携プロジェクトのフェルミン・ソネイラCEOは、「中国はまさに世界の自動車産業変革の中心地となっている。技術イノベーションであれ商業化のスピードであれ、中国のような競争が活発な市場は他にない」と述べました。
FORVIAグループのサステナビリティエグゼクティブVPであるVictoria Chanial氏はインタビューで、「中国で生まれたイノベーション成果をグローバル市場に展開するとともに、競争力を強化することで、『メイド・イン・チャイナ』から『クリエイティブ・イン・チャイナ』への転換を実現する」と語りました。同社は今後、現地化戦略を推進することで、中国自動車産業の成長と変革を加速させ、中国発のイノベーション成果をグローバル市場に展開していく方針です。
完成車メーカーに加え、ドイツの自動車部品メーカーであるボッシュグループも最新製品を中国で初公開したほか、複数の現地企業と戦略的パートナーシップ協定を締結しました。
専門家の分析によれば、今回の上海モーターショーからみると、ますます多くの外資系企業は「中国市場への進出」から「中国市場との融合」へとシフトしていることが分かります。
中国自動車工業協会の付炳鋒常務副会長は、「中国の新エネルギー車の発展プロセスにおいて、すでに完備されたサプライチェーン体系が構築されている。これらの基盤は、多国籍企業が中国で新製品を開発し、市場の高度化に対応するとともに、グローバル展開を推進する上で極めて重要な戦略的資源となっている」と述べました。
出典:央視網