中国(上海)自由貿易試験区臨港新片区

2019年8月6日、中国国務院は「中国(上海)自由貿易試験区臨港新片区全体計画」を発表しました。中国(上海)自由貿易試験区臨港新片区(以下は臨港新片区)は、国際的に認めらる最も競争力のある自由貿易モデルエリアです。国際市場競争力を持つ開放的な政策とシステムを実施し、外商投資、事業運営、資本流動の利便化を実現し、貨物の輸出入を促進し、高度に相互接続された輸送ネットワークを整えました。

臨港新片区は上海大治河の南、金匯港の東(小洋山島、浦東国際空港南部エリアを含む)に位置し、総面積は873平方キロメートルです。「全体的に計画、段階的に実施」の原則に基づき、南匯新城、臨港装備工業区、小洋山島、浦東空港南部エリアを試行エリアとし先行実践し、その面積は119.5平方キロメートルです。

2025年までに、投資円滑化と貿易自由化を促進するための健全なシステムを確立し、より開放的で実用的なプラットフォームを構築し、1,000億元規模の産業クラスターを形成し、地域GDPが2018年比で4倍になることを目指します。2035年までには、国際市場への強い影響力と競争力をより備えた特別経済機能区を構築し、常住人口は約250万人、地域GDPは1兆元(約1,400億ドル)を超えると予想されます。

優遇政策

臨港新片区が発足して以来、中国政府と上海市政府が臨港新片区で推進する集積回路(IC)、人工知能(AI)、バイオ医学、航空・宇宙飛行の4大主要産業を重点的にサポートするために、18の産業支援政策を続々と打ち出してきました。これらの政策は、次世代情報技術、ハイエンド設備製造、スマートコネクテッドカー、新材料、新エネルギー、省エネ・環境保護などの先進製造業と戦略的新興産業を重点的にサポートしています。中国政府と上海市政府が主導する重要プロジェクトと特別資金プログラムの支援に恵まれ、コア企業は15%の企業所得税優遇政策を享受することができます。

集積回路(IC)

コア技術の研究に取り組み、画期的な成果を上げた企業や機関に対し、最大技術研究開発費の50%の補助金を支給すること。

集積回路EDA設計ツールの研究開発に携える企業に対し、最大研究開発費の50%の補助金(上限は3,000万元)を支給すること。

マルチプロジェクト・ウェーハ(MPW)を導入する企業に対し、最大300万元の補助金を支給すること。初めてフルマスクのテープアウトを実現した企業には、最大そのコストの 50%の補助金(上限は2,000万元)を支給すること。

独自に開発・製造する集積回路のコア設備と材料を販売する企業に対し、最大売上高の30%の奨励金(一回あたりの補助金は1,000万元を超えない)を支給すること。

材料やICのパッケージングおよびテストサービスを提供するメーカーとして認められた企業に対し、電気料金の50%の補助金(年間500万元を超えない)を支給すること。

バイオ医薬品

新薬の臨床許可、医薬品製造許可、医薬品販売許可を取得した企業に対し、承認(ライセンスを取得する)されるたびに最大300万元の奨励金を支給し、すでに販売された、新しい適応で再開発される医薬品に携わる企業に対し、最大200万元の奨励金を支給し、ただし、年間1,000万元を超えないこと。

医療機器証明書、薬品生産証明書(ライセンス)を取得した企業に対し、最大200万元の補助金(年間500万元を超えない)を支給すること。

国内外のバイオ医薬専門資格を取得した機関に対し、資格ごとに最大100万元の補助金(機関ごとに年間500万元を超えない)を一括して支給すること。

臨港新片認定登録され、販売許可(ライセンス取得したバイオ製薬企業に対し、前年比売上増の1%(上限は500万元)を奨励し、ただし、その製品の売上税が臨港新片区で納付されている必要があること。

人工知能AI)

AIチップ、コアアルゴリズム、オペレーティングシステム、基本ソフト、スマートセンサーなどのコア技術の研究開発において、産業発展をリードしたプロジェクト、あるいは画期的なブレークスルーを達成したプロジェクトに対し、最大2,000万元の補助金を支給すること。

臨港新片区に登録され、実質的な資本金が2,000万元以上のAI企業に対し、実行ベース投資額5%(上限は500万元)を奨励すること。

臨港新区に新登録された、または入居したエンジェル投資やベンチャーキャピタルなどのファンド投資を通して株式を取得したAI企業に対し入居補助金としてファンド投資額の10%(上限は500万元)を一括して支給すること。

モデルプロジェクトとシナリオ投資プロバイダーに対し、AI技術、製品、サービスに関わる投資と調達の30%(上限は300万元)を奨励すること。また、関連技術、製品、サービスを提供する機関に対し、実際の研究開発費の50%(上限は200万元)を奨励すること。

航空宇宙飛行

国内外の航空宇宙産業のリーディングカンパニー実質的な資本金が5,000万元以上中小企業に対し実行ベース投資額3%5%(1企業にあたり1,000万元を超えない)を奨励すること。

年間売上高が初めて5億元、10億元、50億元、100億元を超える製造業企業に対し、それぞれ最大100万元、200万元、300万元、500万元の奨励金を支給し、企業がグレードアップする際に、それなりに奨励金の差額を補足すること。

合併・買収(M&A)の取引額が1,000万元以上となる国内外の航空宇宙産業企業或いは重要な研究開発機関に対し、実際の取引額5%補助金(累計で500万元を超えない)を支給すること。

エンジニアリングプロトタイプ(サンプル)の機能、性能、信頼性のテストと検証を行う主体に対し、実際費用の50%の補助金(年間200万元を超えない)を支給すること。

国家レベルのスマート製造モデル企業或いは生産現場に承認された航空宇宙装備製造企業に対し、200万元(市レベルの補助金を含まない)の補助金を一括して支給し、市レベルのスマート製造モデル企業或いは生産現場に承認された航空宇宙装備製造企業に対し、100万元の補助金を一括して支給すること。

金融

臨港新片区入居し、実行ベース投資額が一定規模に達する金融ライセンス取得した金融機関に対し、最大6,000万元の入居奨励金を支給すること。

新たに臨港新片区入居し、実行ベース投資額が一定規模に達する金融機関に対し最大2,000万元の入居奨励金を支給すること

臨港新片区入居し、実行ベース投資額が一定規模に達する株式投資会社に対し、最大2,000万元の入居奨励金を支給すること

新たに設立され用のオフィススペースを臨港新片区で購入する金融機関に対し、実際購入価格の12%の補助金(上限は6,000万元)を支給すること。自社用のオフィススペースを借りる場合は、最大年間賃料の100%の補助金を支給し、ただし、3年を超えないこと。

新たに設立され、自社用のオフィススペースを臨港新片区で購入する金融分野の機能機関に対し、実際の購入価格の6%の補助金(上限は2,000万元)を支給すること。自社用のオフィススペースを借りる場合は、最大年間賃料の最大100%の補助金を支給し、ただし、3年を超えないこと。

洋山特別総合保税区

検査・検疫、または輸出入管理監督を受けない貨物は、通行申請を提出してから直接通行できること。

保税区内の企業は、通関書類が不要となり、手作業による登録や検査などの行政手続きが免除されること。保税区内の企業は税関審査手続きが免除され、商品の輸送、コンテナの混載、倉庫保管、加工、貿易、展示、研究開発、再製造、検査・メンテナンスなどの業務を行えること。

禁止品目を除き、保税区内の企業が輸入する、保税区で研究開発に使用される貨物や物品は、ライセンスの提出が免除されること。

保税区で、第三者検証・テスト機関あるいは認証機関、輸入検査および認証サービスを提供することが奨励されることまた、先進技術と高付加価値を持つ航空宇宙機器およびエンジニアリング機器、CNC工作機械の再製造が許可されること。

同保税区で、輸入車の保税倉庫および展示許可されること

人材

居住者が戸籍を取得するため必要な滞在期間は、7年から5年に短縮され、重点産業の中核人材に該当する方はさらに3年に短縮されること

不足するコア技術人材として主要機関に雇用され、学士以上の学位を持ち、関連分野で2年以上の実務経験を有する申請者は、即時に戸籍登録が可能となること。

深刻に不足している優れる海外技術者に対し、個人所得税の差額補助金を支給すること。

臨港創業園で起業する外国人留学生に就労許可を発行し、臨港創業園での起業経験が就労経験とみなされること。

臨港新片区で就労する外国籍を有する帰国華僑は、外国人人材長期居留許可(B類許可、有効期限は最長10年)を申請することができ、就労許可証の申請が免除されること。

臨港新片区で登録された企業で技術専門家として雇用される外国人従業員に、特定の条件を満たす場合、最低2年間有効の就労許可を発行すること。