海洋産業にAIを活用——中日のスマート船舶研究開発の最前線

AIによる海洋支援——「知領深藍」未来型船舶の融合を加速するフォーラム(写真・中国船舶集団)
2025年世界人工知能大会(WAIC)において、「AIによる海洋支援——『知領深藍』未来型船舶の融合を加速するフォーラム」が造船業界の注目を集めました。このフォーラムで中国船舶集団(CSSC)は「智海・チューリング」海上AI効率化基盤プラットフォーム、海鯤大規模モデル、ブルードルフィン(藍豚)インテリジェント製品安全性テスト検証プラットフォーム、AIを活用した船体形状設計技術の研究・応用、デジタル運航支援システムなど、計6つのAIイノベーションの成果を発表しました。
現在、AIは世界の構造を深く再構築しつつあり、海洋の開発と利用に革命的なチャンスをもたらしています。スマート船舶、スマート海運、スマート港湾、スマート海上保安といった新しい形態が急速に進化しており、造船業と海運、海事、港湾といった関連産業の深い融合を力強く推進しています。
上海市海洋局の金宏松副局長によると、2024年、上海市の海洋関連の生産総額(GDP)は初めて1兆元の大台を突破し、1兆1387億元に達し、市全体のGDPの20%以上を占めました。上海は単位海域あたりの海洋GDPが全国トップであり、現代的な海洋都市の建設においても国内でトップクラスです。
新たな科学技術革命と産業変革の波に直面し、上海は現代的な海洋産業システムの構築を加速させています。AI×海洋に注力し、スマート船舶、水中ロボット、無人船、スマート海洋装備などの研究開発・設計・製造を積極的に後押しし、スマート化・デジタル化のレベルを高めています。また、海洋分野におけるカーボンピークアウトおよびカーボンニュートラルに向けた取り組みにも注力し、船舶、海洋工学、海運などの海洋産業のグリーン・低炭素化への転換を推進しています。
現在、上海は国内初の海運大規模言語モデルを開発済みで、リアルタイムで信頼性の高い海運データの照会サービスを提供しています。張江AI+海洋科創センター、長興島海洋科創シティ、臨港海洋スマート製造専門パークなど、イノベーション拠点も続々と設置されています。
世界に目を向けると、世界各国でもスマート船舶の開発を積極的に推進しています。
日本郵船株式会社海洋技術研究所の安藤英幸所長は、「日本のスマート造船プロジェクトの目標は2040年までに日本の船舶の50%を自律運航化することであり、自律運航はスマート化の重要な指標の1つです」と述べました。
現在、50社以上がこのプロジェクトに参加し、目標の実現に向けて連携して取り組んでいます。2022年には、同プロジェクトの試験船が東京から東部海岸までの往復790㎞を運航し、そのうち98.5%の時間を自律運航しました。
今年、このプロジェクトは第2段階のデモを予定しており、商業運航への推進をが期待されています。
話を中国に戻すと、上海船舶設計研究院の李鑫副院長は「中国の新造船プロジェクトにおいては、すでに半数以上の船種で運航支援やスマート運航などのスマートシステムが導入されています。しかし、自律運航への移行においては、依然としてデータ不足や反復可能な実証シナリオの欠如といったボトルネックが存在しています」と話しました。
同研究院が開発した自律運航ヨットは広州の南沙でのテストで一定の成果を収めています。現在はアルゴリズムモデルの仮想シナリオ上でのシミュレーションが行われており、今年下半期には実船での再テストがなされる見込みです。
李鑫副院長は、中国の造船業界はスマート船舶の研究開発エコシステムを共同で構築する必要があり、それによってより速く、より良く発展できるようになると強調しました。
今回のフォーラムは、まさにこのコンセンサスを形成させ、中国のスマート船舶開発を加速させるものであり、フォーラムで発表された6つのイノベーション成果には、多くのオープンな協力を前提としたプラットフォームが含まれています。
出典:解放日報、上観新聞