上海・黄浦区、インターネットコンテンツ制作集積区を高度化 優良コンテンツの海外展開を後押し
イタリア人コンテンツクリエイターの「Alexx雷(アレックス・レイ)」は、長年にわたりショート動画を通じて、上海の街並みや日常生活を発信してきた。過去1年間に公開した動画の総再生回数は2億回を超え、各プラットフォームのフォロワー数は合わせて50万人を上回っている。上海市黄浦区の「インターネット優良コンテンツ制作集積区」(以下「集積区」)に入居した後、Alexx雷は現地でセルフメディア運営企業を設立した。今後は、より多くの海外クリエイターが中国の物語を発信できるよう支援していく考えだ。
同集積区は2025年7月、外灘FTCを中核拠点として設立された。これまでに企業・クリエイター計1027組と連携し、各種イベントを2031回開催。コンテンツクリエイター2615人を呼び込み、企業137社を誘致した。関連企業とクリエイターが抱えるフォロワー数は合計15億人を超え、入居企業の約3分の2が20%以上の売上高成長率を実現している。
黄浦区では、インターネットコンテンツ制作集積区の高度化が進められている。(写真提供・WeChat公式アカウント「上海黄浦」)
垣根を越える
従来型のオフィスパークとは異なり、集積区では、企業やクリエイターにコワーキングスペース、ライブ配信スタジオ、撮影スタジオ、プレゼンテーション・展示ホールなどの専門施設を提供するだけではなく、産業エコシステムの構築を通じて、産業全体の協業ルートを整備している。
クリエイターや企業の集積が進むにつれ、このプロジェクトは一棟のビルを拠点とした取り組みから、産業地区全体へと広がりつつある。外灘FTC周辺には、新たにシェア型創作スペース、商業・レジャー施設、産業発展拠点が設けられ、IPの育成や国境を越えたコンテンツ制作などのプロジェクトを受け入れている。さらに、その産業集積効果は、九江路や漢口路など上海中心部へと拡大している。
クリエイターの成長を支援
黄浦区は、インターネット優良コンテンツクリエイターを支援する政策「滬九条」に基づき、クリエイターの上海での定住・戸籍取得手続きを積極的に支援している。さらに、人材向け住宅、住宅補助、職業能力認証などのサービスを導入し、若手クリエイターが上海で長期的に活躍できる環境を整えている。入居した一部のクリエイターには、大規模会議を取材するためのメディア枠も付与された。これは、インターネットコンテンツ制作業界に対する社会的評価が高まり続けていることを示している。
クリエイターが生み出す発信力は、都市の商業や文化観光を活性化させる新たな原動力にもなっている。上海国際フラワーショーの開催期間中には、集積区のクリエイターによる情報発信を通じて、関連する投稿の表示回数が約6倍増加し、周辺商業エリアの消費拡大にもつながった。
世界とつながる
外国人居住者や外国人観光客の多いエリアに位置することから、集積区では海外クリエイターの入居も増えている。ロシア、米国、アルジェリアなどから来たインフルエンサーは、中国の伝統文化や民族衣装、無形文化遺産を実際に体験することで、海外の視聴者に向けて、ありのままで多様な中国の暮らしを発信している。
データによると、中国旅行への海外ユーザーの関心は高まり続けている。小紅書(RED)では、海外ユーザーによる中国旅行関連の投稿数が前年同期比で5倍増加した。上海は、海外ユーザーによる検索数が最も多い中国の都市の一つとなっている。なかでも黄浦区は、良好なコンテンツ制作エコシステムと豊富な制作資源を強にに、名実ともに優良コンテンツを生み出す「スーパーファクトリー」へと成長している。
「集積区2.0版」へ進化
現在、黄浦区は集積区の「2.0版」の立ち上げに向けた準備を進めており、産業の集積を促進する段階から、参加者が共創するエコシステムをつくる段階へと発展させることを目指している。
FTCクリエイターキャンプ(写真提供・WeChat公式アカウント「上海黄浦」)
その一環として設けられる「FTCクリエイターキャンプ」では、業界の専門家やトップクリエイター、インターネットプラットフォーム、人工知能(AI)関連の技術資源を導入し、AI時代における新たなコンテンツ制作モデルを模索する。黄浦区はまた、コンテンツビジネスを行う「一人会社」の発展を支援する方針で、外灘FTCに黄浦区初となるOPC(One Person Company、一人会社)専用エリアの試行運営拠点を開設し、柔軟な法人登録制度やコワーキングスペースの提供などを通じて、コンテンツクリエイターの起業・運営コストを引き下げるとしている。
黄浦区初となるOPC専用エリアの試行運営拠点が開設。(写真提供・WeChat公式アカウント「上海黄浦」)
地域のコンテンツ産業を発展させると同時に、黄浦区は国際的な資源との連携も強化していく。集積区はすでに中国香港特別行政区に企業向け海外展開サービス拠点を設置しており、入居するMCN事業者や制作チームに対し、海外向けSNSアカウントの運営や著作権保護などのサービスを提供している。これにより、より多くの優良な中国発コンテンツの海外進出を後押しする。
出典:解放日報、WeChat公式アカウント「上海黄浦」