AI技術が集積した中国国際輸入博覧会、多国籍企業が中国の新しいAIインフラに携わる
第5回中国国際輸入博覧会(CIIE)で初めて人工知能専門エリアが設置されてから4年、今年のAI展示はスマホ、パソコン、テレビなどのハードウェアのほか、データセンター 、エンボディドAI、低空経済などの最先端の技術を際立たせました。中国の強力なイノベーションの勢いと巨大な市場に秘めた可能性から、多くの外資系大手企業が中国への投資を拡大することを選択しました。
今年のクアルコムの展示エリアには、ほとんどが中国のパートナー企業でした。「今年9月25日、我々はSnapdragon 8 Elite Gen 5を発表しました。1ヶ月余り後、これを搭載した12機種の中国製スマートフォンが輸入博覧会で初めて披露されました」と、クアルコム中国市場部技術市場の李永鋼ディレクターは述べました。クアルコムの展示エリアでは、この最新プラットフォームを基盤に実現された、スマートフォンなどの端末デバイスでのマルチモーダルとLLM(大規模言語モデル)による効率的な推論のデモンストレーションが行われていました。推論速度が毎秒200トークンを安定的に超え、遅延を大幅に削減し、エネルギー消費を節約しました。現在、クアルコムは小米(Xiaomi)、栄耀(Honor)などの中国ブランドと提携して複数のフラッグシップ機を共同でリリースしており、「中国スピード」は世界の注目を集めています。
中国製IoT搭載自動車のデジタルシャシーをカスタマイズするクアルコムのチップ(写真提供・上観新聞)
AIスマートフォンのほかに、IoT搭載自動車とロボットもクアルコムが注目する分野です。中国の自動車メーカーや産業パートナーとの提携により、クアルコムが提供する「Snapdragon Digital Chassis」は210モデル以上の車種に適用されています。さらに、クアルコムのQualcomm Dragonwingは、Unitree Roboticsのロボットに通信およびエッジAI処理能力を与え、過酷な環境下でも高負荷の計算タスクを実行できます。
今回の輸入博では、これらのグローバルトップブランドは単一の製品に焦点を当てるのではなく、「AI戦略」を企業の中核的なレベルに引き上げています。
例えば、日本のパナソニックはAIを中国戦略の中心に位置付け、「二つのエンドへエンパワーする」というAI中核戦略を提案しました。「一つのエンドへのエンパワーは、ユーザーシナリオに焦点を当て、AI技術を搭載したスマート家電、空間、サービスを通じて生活と産業に深く融合させること。もう一つのエンドへのエンパワーは、AI産業のインフラストラクチャを育成し、主要なコンピューティング機器のコアコンポーネント、材料、付属のサポートを提供することです」とパナソニックグループ中国・北東アジア総代表の本間哲朗氏は述べました。
中国のAI産業の急速な台頭は、日系企業の中国での発展にも新たな原動力を注入しています。パナソニックの決算報告によると、2025年度上半期(4月から9月)、中国での売上高は前年比3%増、利益は24%大幅に増加しました。「我々はAIアプリケーションの構築者であると同時に、産業発展の舞台裏のサポーターでもあります」と本間氏は述べ、パナソニックは中国のAI発展の機会を捉え、統一された大市場の優位性を活かして、技術革新によって競争力を高めていくという方針を示しました。
出典:上観新聞