韓国・日本・タイから観光客殺到!上海が「中国インバウンド観光の玄関口」の確立を加速
過去2年間、中国はビザ免除政策の最適化を進め、「China Travel(中国旅行)」が海外のソーシャルメディアでの人気が高まりつつあり、上海は多くの外国人観光客が中国を訪れる最優先の目的地となっています。それでは、ビザ免除政策が見直された後、上海を訪れる外国人観光客数が増加した国はどこでしょうか?また、上海は「China Travel」ブームにどのように対応しているのでしょうか?
韓国、日本、タイからの観光客数がトップ3
上海市文化観光局の統計データによると、2025年第1四半期における上海のインバウンド観光客数は延べ174万2911人を記録し、前年同期比47万人以上増加、伸び率が37.08%に達しました。このうち、宿泊者数は延べ155万5457人となり、前年同期比53.02%の大幅な伸びを示しました。この増加傾向から見ると、ビザ免除政策の最適化が外国人観光客の上海観光意欲を大きく喚起していることがわかります。
観光客数の多い国別に見ると、今年第1四半期に韓国から上海への観光客は延べ20万人を超え、首位を占めており、昨年全年の韓国から上海への観光客数の約半分に迫る水準となりました。日本とタイはそれぞれ14万人余りと11万人近くで続いています。
観光客数も増加率も、ランキング上位3位を占めた国の多くはビザ免除国でした。成長率の分析によると、地理的に距離が近い送客国において、ビザ免除政策を早期に導入した国ほどインバウンド観光客の増加率が顕著であることが明らかになっています。これはビザ免除政策に外部ラグと持続的波及効果が存在することを示しています。
「China Travel」ブームが衰え知らず
インバウンド観光客に人気のある上海の観光スポットや飲食店では、今も外国人観光客が多く訪れる状況が続いています。特に、韓国と東南アジアからの観光客が市場シェアの上位を占める構図が鮮明になっています。
東方明珠ラジオテレビ塔の郭一峰総経理によると、今年第1四半期に同施設が受け入れた外国人客は延べ6万4000人に達し、前年同期比89%増となっており、うちインバウンド観光客は全体の8%を占めています。
また、今年、上海馬劇城(上海サーカスワールド)の人気演目「時空の旅」も海外観客の殺到を迎えています。第1四半期の「時空の旅」への海外観客数は前年同期比4倍増加し、送客国は39カ国・地域に及んでおり、韓国、日本、タイ、オーストラリア(いずれもビザ免除国)からの観光客数が上位を占めていました。
今年に入り、「China Travel」の人気がさらに高まり、世界中の観光客の注目を集めています。ソーシャルメディアでの情報発信とビザ免除政策の最適化を背景に、異なる文化背景を持つ人々が国境を越えてつながりを築き、相互理解を深めることが、「中国インバウンド観光の玄関口」を目指す上海には更に多くの発展チャンスをもたらし、同市の観光業の質の高い発展を後押しする新たな原動力を注入しています。
上海、中国インバウンド観光の玄関口を継続的に構築
外国人観光客の増加が続くなか、観光ニーズをより的確に満たすため、4月24日、上海市政治協商会議は在上海領事館の役職や外国人代表を招き、同協商会議の「全過程人民民主実践拠点」において、「第15次5カ年計画」の策定におけるインバウンド観光関連の内容をめぐる特別座談会を開催しました。14人の外国人参加者が自由に意見を述べ、上海の「中国インバウンド観光の玄関口」構築に向けたリアルな意見を提案しました。座談会の議論では、「支払い」「ビザ」「言語」がキーワードとなりました。
現在、上海における海外発行カード対応のPOS端末はすでに9万台に達しているが、在上海日本国総領事館の青山宝世副領事は、実際の決済ニーズに比べ、この数はまだ足りないと感じています。同氏は、より多くの飲食店などの消費施設においてPOS端末による支払い対応が進むことを期待していると述べました。
また、在上海タイ総領事館のプリナート・アピラート総領事は、観光客がモバイル決済の登録方法をより理解できるようさらなる広報活動の強化と、より多様な決済手段の提供を希望しています。万が一の事態が発生したとしても、代替決済手段があるため支払いをスムーズに済ませることができると考えられています。
上海中医薬大学国際教育学院の客員教授・洪原淑氏は、「非英語圏出身者にとって、母国語による案内がなければ、依然として表示や案内の認識に困難がある」と述べました。同氏は多言語対応のサービス案内を一層充実させることを望んでいます。
座談会の締めくくりには、上海市の関係部門の責任者は外国人参加者からの要望に一点ずつ応えていました。しかも、「今後、今回の座談会で何度も取り上げられた具体的な問題を踏まえ、複数の部門と連携し、特別行動を展開し、観光客の上海体験の質向上を図る」と明言しました。具体的には、多言語サービスの更なる最適化や決済環境の整備など、外国人観光客の上海体験の質の向上に向けたの取組が進められる予定です。
出典:上観新聞、解放日報