東京で幕開け、上海で共創へ:中日ゲーム産業が第1回CIGDCに集結
2025年4月21日、中国音響映像・デジタル出版協会ゲーム出版業務委員会(以下、中国音数協ゲーム工委)と厦門市玲央奈ソフトウェア有限公司が主催し、JETRO(日本貿易振興機構)、上海市委員会宣伝部、ソニー・インタラクティブエンタテインメントなどが運営する、「2025 CIGDC日本企業向け説明会」が東京・NBF大崎ビルのBRIDGE TERMINALにて開催されました。中国のゲーム市場に注目する日本業界関係者150人以上が参加しました。本説明会は「中国が初めて地方政府と企業を連携させ、日本で開催した特別交流活動」で
あり、中日ゲーム産業の「連携深化とエコシステムの共同構築」を目的としています。

説明会の様子(写真:中国音数協ゲーム工委)
今回の説明会では、2025年7月29日から8月2日まで開催予定の「CIGDC中国国際ゲーム開発者カンファレンス」と、8月1日から4日にかけて行われる中国最大級のゲームショウ「ChinaJoy」の紹介に加え、中国のIP市場とゲーム産業の動向についても解説が行われました。
CIGDC中国国際ゲーム開発者カンファレンスは、中国国内外のゲーム企業の間に意義あるコミュニケーションプラットフォームの構築を目指し、海外のゲーム企業に中国および上海市の政策やビジネス環境への理解を深めてもらい、その中国進出や現地パートナーの開拓を支援し、ビジネスチャンスの創出を促進することが期待されています。同時に、CIGDCは中国企業と海外企業の業務提携と交流をさらに強化し、中国のゲーム企業が海外のビジネス環境を理解し、グローバル展開を推進する上で役割を果たし、相互の利益を図るとされています。また、中国と海外のゲーム企業がそれぞれの特色ある製品と理念を紹介し、ゲーム文化の国際交流を一層促進していくことも目指しています。
CIGDCの開催地である上海市虹口区は、地理的優位性を備え、豊かな文化的な背景、優れた交通アクセス、充実した生活利便施設、そして高度に集積した人的資源を有しています。虹口区は今後、中国企業が海外の有名な企業や技術チーム、ゲームプラットフォームと連携し、先進的な技術やマネジメントの導入を進め、積極的に海外市場を開拓し、現地化した運営やクロスカルチャー・マーケティングを推進することで、中国ゲーム産業の海外展開を促進することを奨励する方針となっています。
関連データによると、2024年に中国のモバイルゲームの日本での収益は28億2900万米ドルに達し、日本は中国ゲームの海外進出において第2位の市場となっています。また、任天堂やソニーといった企業の家庭用ゲーム機も中国で大きな市場シェアを占めています。中国音響映像・デジタル出版協会副秘書長・ゲーム工委秘書長である唐賈軍氏は、「このような相互的な文化交流と融合は、中日両国のゲーマーが優れたコンテンツを求めていることを反映している」と述べました。また、日本のゲームが中国において深い影響力を及ぼしている一方で、『原神』や『第五人格』といった中国ゲームも日本市場で高い評価を受けており、両国の協力には大きな可能性があると指摘しました。彼は「協力によって相互利益を図り、交流によって発展を促す」と訴え、産業の共創、市場の相互開放、IP協力の推進をともに進めていくよう呼びかけました。
ジェトロ・北京事務所の森永正裕副所長は挨拶の中で、中国産ゲームの品質向上に触れ、『黒神話:悟空』が2024年のSteamアワード大賞を受賞したことや、中国の映画・アニメ作品も世界的人気を博していることを例に挙げました。同氏はまた、「ChinaJoy」や「Bilibili World」などの大型イベントからも、日本のIPは依然として中国市場で非常に高い人気と優位性を保っていることがうかがえると指摘しました。彼は今後中国のIPコンテンツが必ずや日本の水準に近づき、その際中日両国のコンテンツ産業は「競争と対立ではなく、協力と融合の道を歩むべきだ」との考えを示しました。
日本側の企業代表として、索尼互動娯楽(上海)有限公司(ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海)会長兼社長の江口達雄氏は、PlayStationが中国市場に参入してからの10年の歩みを振り返り、「PS4からPS5へと、PlayStationの中国における事業は安定的に成長を続けており、それにより中国のプレーヤーの間でも高品質なコンソールゲームへの認知が高まってきました」と述べました。江口氏は、ソニーが2016年から開始した「China Hero Project」について紹介しました。このプロジェクトは、中国の優れたゲーム開発チームが国際舞台へと進出することを支援するもので、現在は第3期に入り、これまでに9本のゲームが選ばれました。
今回のCIGDC大会の開催地である上海市虹口区を代表し、上海市虹口区文化観光局の葉睿副局長は虹口区の地理的優位性、産業の活力と国際連携の可能性について詳しく紹介しました。葉睿氏は、虹口区は上海における文化力の高い区として、豊かな海派文化(上海流文化)の伝統と高いイノベーション力を備えていると指摘したうえ、ゲーム産業において、虹口区は既に研究開発、パブリッシング、運営までを含む一貫した産業チェーンを構築しており、日系企業のDeNA Chinaをはじめとする多くの優良企業が集まっており、「ゲーム+二次元文化+舞台芸術+ビジネス・観光+展示会」の複合型消費シーンの創出にも取り組んでいると紹介しました。
同説明会は、中日双方の積極的な参加と広範な共通認識のもと、円満に幕を閉じました。中日ゲーム産業交流の重要な一環として、今回の説明会は両国の企業に対面コミュニケーションと協力関係を築く貴重な機会となっただけでなく、7月31日に上海市虹口区で開催される2025 CIGDC中国国際ゲーム開発者カンファレンスに向けた確かな土台を築くものにもなっています。
今後、政策支援、地域連携と国際的なプラットフォームの持続的な推進により、中日のデジタルコンテンツ産業はより深いレベルでの連携を通じて、価値を共創し、市場を共に拡大していくことが期待されています。
出典:中国音数協ゲーム工委