上海市市長国際企業家諮問会議の役割がさらに深まる——数多くの外資を誘致し、グローバル企業が上海ガバナンスに参画
このほど、「上海市コミュニティ健康管理業務規範:慢性疾患総合予防管理(2025年版)」が公布され、血中脂質管理が正式に盛り込まれました。その背後には、上海市市長国際企業家諮問会議(IBLAC、以下、市諮会)メンバー企業の尽力があります。近年、市諮会において、スイスのノバルティス社が、高脂血症の管理を基本的な公衆衛生サービスに組み入れ、心血管イベントの発生率を低減させるように提案し続けてきました。ノバルティス社のジョン・リ取締役会長は会議で、同社の財団の旗艦プログラム「都市心血管健康アクション」を上海に導入し、上海が心血管健康の「デジタル青写真」づくりを支援すると表明しました。
10月12日に開催された第37回上海市市長国際企業家諮問会議(撮影:孟雨涵・海沙爾/解放日報)
現在、市諮会の上海に対する意義は、もはや年に一度か二度の集まりにとどまりません。最新の統計によれば、今年の市諮会を通じて新規外資プロジェクト10件以上を誘致し、潜在的投資額は300億元を超える見込みです。
上海の発展と企業の目標の「シンクロ」
今年、市諮会のメンバーには新たに6社が加わりました。米ナイキ、仏ヴェオリア、ブラジル・ヴァーレ、韓国SK、日本みずほフィナンシャルはいずれもフォーチュン・グローバル500企業であり、独アディダスはグローバル業界のリーディングカンパニーです。業種を見ると、半導体、金融、消費財、環境、鉱業など、多様な分野にまたがり、伝統産業と新興産業、第2次産業と第3次産業が共存しています。
実績を見ると、中国はすでにアディダスの最大の単一国市場であり、昨年の売上は34億5900万ユーロで、前年同期比10.3%増でした。ヴェオリアの浦東プロジェクトは、430万人の浦東住民に対し、毎日約200万㎥の飲用水を供給しています。みずほ銀行は今年7月、臨港集団と共同で「日系中小企業(上海)中小企業国際産業パーク」を設立しました。ヴァーレは今年第3四半期までに1.4億トン近い高品質鉄鉱石を中国に輸出し、同期間の同社の世界鉄鉱石販売量の62%を占めました。
多くの企業代表は、上海の発展方向と企業の目標が「一致」していることに言及していました。
「ヴァーレが中国で初めてオフィスを構えたのは上海であり、中国区本部も上海にあります。上海を拠点に全国へ業務を広げたいと考えています」。市諮会に加入した理由について、ヴァーレ中国区の謝雪総裁は、企業の技術革新やグリーン・低炭素転換のビジョンは上海の発展方向と一致しており、上海の持続可能な発展によりコミットしていきたいと語りました。
ヴェオリアグループのベルナール・ロワノCEOは、市諮会を「政府・企業の対話のプラットフォーム」と捉え、上海のニーズを理解することで、技術開発を進めているといいます。例えば、浦東の給水プロジェクトでは、スマートロボットによる巡回点検から、給水配管のリアルタイム監視、管網状態診断などを備えた、スマート水務プラットフォームを開発し、水源から蛇口までの全過程で水質を管理しています。
1つのレポートに1年間の準備
慣例では、市諮会の新メンバーは翌年から正式に提言レポートを作成することになっていますが、「新入り」のアディダスは昨年からすでに「宿題」を提出していました。レポートでは、上海がスポーツ大会の全ライフサイクルをカバーする標準化ガイドラインを制定し、スポーツ大会のワンストップ・プラットフォームを開発し、海外大会誘致の「高速道路」を構築することを提案しました。
「スポーツを上海の『第三のファサード』にすることを願っています」。アディダスのビョルン・グルデンCEOは、外灘の万国建築群を上海の「第一のファサード」、石庫門の生活文化を「第二のファサード」、そしてスポーツが「第三のファサード」として都市の活力を示す窓口となり、国内外をつなぐインターフェースとなりうると語ります。それにより構築されるエコシステムは、上海のオープンな発展を支え、グローバル競争力を高めると言いました。
アディダスの提案には市諮会で強い共感が生まれました。実際、「1つのレポートを準備するのに1年かける」というのはメンバー共通の認識となっています。質の高い「宿題」を提出するため、メンバー企業は1年前から本社に執筆チームを立ち上げ、グローバル企業である優位性を活かして海外都市の経験を収集し、実効性のある提案を作り上げます。
新メンバーもすでに動き出しています。みずほ銀行(中国)有限公司の吉浦賢哉行長は「日中両国はいずれも持続可能な発展、少子化、高齢化といった社会問題に直面しています。今後も中国市場の研究を強化し、日本の経験を踏まえ、来年の会議で建設的な提案を行えるように努めます」と述べました。
10月12日に開催された第37回上海市市長国際企業家諮問会議(撮影:孟雨涵・海沙爾/解放日報)
上海で企業の「第二の成長」を実現
市諮会メンバー企業の上海への支援は、提言レポートの提出にとどまりません。来年、アディダス大中華区本部は徐匯区の西岸中環に移転する予定であり、グルデン氏は「上海ハーフマラソンや上海スポーツフェスティバルなどの大会に参画し、上海を複数製品の世界初発表の地とします」と述べました。鉱業大手ヴァーレは、中国の海運企業や港湾運営企業との協力を強化し、ブラジルの鉄鉱石を効率的かつ環境に優しい方法で中国の製鉄企業へ供給する計画を明らかにしました。
多くの企業代表は「モデル転換」に言及しました。市諮会メンバー企業の多くは中国に進出して20〜30年を経ており、今こそ中国市場とよりよく接続・適合し、上海で「第二の成長」を実現する必要があるといいます。例えばヴェオリアは、水務・固廃処理・エネルギー管理分野の先進的技術を統合し、工業地域の炭素排出を15〜30%削減することを目指す、低炭素・ゼロエミッション一体型のソリューションを探っています。
吉浦氏は、「これまでは中国に進出する日本企業への金融支援が中心でしたが、今後はより多くの中国企業の海外進出を支援したいです」と述べます。みずほ銀行は世界35の国と地域に100以上の拠点を持ち、長年にわたりASEANや中東欧市場に深く根ざしています。こうした地域は中国企業の海外進出の重要な目的地でもあります。さらに、みずほは海外モデルの中国での展開も進めています。今年9月末には、みずほ証券(中国)有限公司が認可され、中国初の日本独資証券会社が誕生しました。来年正式に開業する予定です。「『商業銀行+投資銀行』モデルにより、今後の中国での発展基盤を築きたい」と述べました。
もちろん、これには上海とのさらなる相互作用も必要です。現在、上海と市諮会メンバー企業との交流はますます緊密になっており、上海市が主催する「メンバー企業朝食会」「政府・企業交流サロン」などを通じたコミュニケーションシステムが整えられています。来月のサロンは虹橋で開催され、企業を「誘致する」、企業が「進出する」ための新しいルートを理解する手助けを行います。このように力を合わせてこそ、企業と都市がお互に向き合って、とも共に進むことができるのです。
出典:上観新聞、解放日報