上海の大晦日の食卓に並ぶ美味しいメインディッシュ
大晦日は中国人にとって非常に重要な日です。大晦日には、家族全員が集まって賑やかに団らんして夕飯をとるのが、何千年にもわたる中国人の風習です。この団らんの食事は「年夜飯」と呼ばれ、中国人にとって円満を象徴しています。
上海の人々の「年夜飯」へのこだわりは非常に強く、自宅でも家族全員が大きな円卓を囲んで座り、レストランで食事をするような儀式的な感じがするもので、「円卓を囲む食事」と呼ばれます。上海の「年夜飯」の標準的なメニューは「八冷盆・八熱炒(前菜8品と炒め物8品)」に加え、デザート1品とスープ1鍋で、人数が多い場合はさらに煮物を追加することもあります。今日は、上海の「年夜飯」で一般的な熱菜(メインディッシュ)をご紹介します。
清炒蝦仁(エビの炒め物)
(写真・WeChat公式アカウント「上海市民政局」)
最初の熱菜として、「清炒蝦仁」が定番です。なぜなら、エビを意味する「蝦仁」という言葉は上海の方言で「歓迎」と同じ発音なので、お客さんにアットホームな感覚になってもらえます。上海の「清炒蝦仁」は、エビを炒めるだけで、他の食材は加えず、酢で味を整えます。
松子桂魚(ケツギョの唐揚げ甘酢かけ)
(写真・WeChat公式アカウント「上海嘉定」)
甘酸っぱくて塩気があり、栄養価も高い料理です。ケツギョ、松の実、トウモロコシ、グリーンピース、トマトソース、砂糖、塩が主な材料です。食欲を増進させ、消化を助ける効果もあります。魚料理は、松子桂魚、紅焼鮰魚・黄魚、清蒸魚、黄魚羹など、調理方法は家庭によって、揚げたり、蒸したり、煮込んだりと様々です。とは言え、大晦日に魚を食べる際には、ゲンを担ぐために、全て食べ尽くさずに少し余るようにすることを忘れないでください。
扣三絲(三種の細切りまとめ)
(写真・VCG)
「扣三絲」は淮揚料理から由来する、上海の人々の大晦日の夕食の定番料理の1つです。作るのは難しく、特に包丁の技術が求められます。豚肉、鶏肉、冬筍を細切りにし、小さな山に盛り付けます。これは金銀が山のように積もることを意味しています。
油爆蝦(エビの唐揚げ)
(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)
赤い殻は、口で簡単に剥け、エビの肉は柔らかく、甘くて美味しいです。エビの殻には節があるため、「節節高升(段々と昇進する)」という縁起のいいものです。
水筍焼肉(タケノコと豚肉の炒め物)
(写真・WeChat公式アカウント「上海発布」)
上海の人にとって、「水筍焼肉」の思い出は非常に深く、大鍋で作り、大晦日から1月15日まで食べ続けることもよくあることです。この料理は大晦日の夕食に欠かせないもので、タケノコが肉汁を吸収して非常に美味しくなり、最後には豚肉さえも脇役になるほどです。
紅焼肉(豚の角煮)
(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)
毎年大晦日になると、上海の家庭では必ず「紅焼肉」を作ります。大きな肉は豊かさの象徴であり、油光りする「紅焼肉」は、来年の紅火(繁栄)と生活や事業の成功を象徴しています。
塌菜冬筍(ターサイとタケノコの炒め物)
(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)
「塌菜」は上海語で「苦労から脱する菜」という意味があり、タケノコは土から頭を出し、段々と高くなるという縁起の良いものです。この料理を食べることで、来年の生活や仕事がますます良くなるとされています。
響油鱔絲(ウナギの細切り油かけ)
(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)
「響油鱔絲」は上海料理の代表であり、鱔絲(ウナギの細切り)の新鮮な風味は多くの食通に愛されています。タレをたっぷりかけた「響油鱔絲」は、出す前に熱い油を上からかけると「シュー」という音がし、胡椒を振りかけて食べるとさらに美味しさが増します。多くの上海の家庭の大晦日の夕食に欠かせない最高の一品です。
西芹百合(セロリとユリの炒め物)
(写真・新民晩報)
大晦日の夕食はどうしても魚や肉が多くなりがちなので、肉と野菜のバランスを考えることが大切です。この料理は簡単に作れ、食卓の上の素晴らしい料理に華を添える一品です。
八宝鴨
(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)
冬筍、しいたけ、鶏肉などの食材を鴨の中に詰め、アルミホイルで包んで蒸し焼きにします。この料理は宝の鉢(金銀財宝を幾ら取ってもなくならないという伝説上の鉢)のようであり、新年に良い兆しをもたらしてくれるでしょう。
全家福
(写真・新民晩報)
上海の大晦日の夕食のクライマックスとなる料理は、通常は全家福(家族全員が幸せになること)という名の熱々の鍋料理です。この鍋には多くの食材が入り、各家庭によって多少異なるものの、欠かせないのは蛋餃(卵で包んだ餃子)です。黄色の餃子は黄金の小判を象徴します。これを食べると一年の幸運がもたらされるでしょう。
出典:中国日報網、東方網、WeChat公式アカウント「上海市民政局」、WeChat公式アカウント「上海嘉定」、VCG、WeChat公式アカウント「上海発布」、(写真・WeChat公式アカウント「上海静安」)、新民晩報