【全国両会】2025年政府活動報告における「上海」
3月5日、国務院の李強総理は国務院を代表して第14期全国人民代表大会第3回会議で政府活動報告を行いました。報告では、経済大省が担い手としての役割を支援し、要素保障、科学技術革新、改革開放の先行実行・先行試行などにおいて支援政策を策定することが言及されました。
中国最大の経済中心都市として、上海には肝心な重点分野でより多くの革新的、先導的措置を打ち出し、より積極的な姿勢で国家政策を引き受け、より積極的に中国経済の持続的な回復と好転のために全方位的に担い手としての役割を果たす必要があります。
上海のスカイライン(写真・IC)
開放拡大
開放によって改革と発展を促進することは、長期的に続く主軸です。
政府活動報告では、外部環境がどのように変化しても、対外開放を終始動揺せず堅持し、制度型開放を着実に拡大し、自主開放と一方的開放を秩序正しく拡大すると指摘されました。上海は中国の対外開放の最前線として、先行実行・先行試行の歩みは常に最先端を走っています。
昨年、国務院の承認を経て、上海東方ハブ国際ビジネス協力エリアが浦東新区に設立されました。今年末までに「先行起動区の閉鎖検収」と「基本機能の実行運転」を実現する計画です。全国初の「国境内税関外」特殊監督管理エリアとなり、国際的開放度が最も高いエリアの一つとして位置づけられ、30日間無査証入区などの利便化政策を適用します。国内外企業はビザ無しに中国大陸出身でない人をビジネスエリアに招待してビジネス協力、ビジネス商談を行うことができます。
外資誘致
政府活動報告では、「外資企業へのサービス保障を強化し、代表的プロジェクトの実施を加速する」など、多くの関連任務が列挙されています。
トヨタ自動車はこのほど、上海市にレクサスの純電気自動車とバッテリーの研究開発機関と生産会社を独資で設立することを発表しました。これは間違いなくテスラの上海ギガファクトリーのモデルを参照した結果です。後者は当時、新エネルギー車の外資持ち株比率制限が撤廃された後、初めて設立された外資独資の自動車メーカーです。
自由貿易区の建設を加速
ほかにも、政府活動報告では「自由貿易試験区の質向上・効率向上の推進及び改革任務権限の拡大」などの活動が言及されました。
上海市は今年、自由貿易試験区及び臨港新エリアの建設推進を加速し、自由貿易試験区制度型開放計画案バージョン2.0の公布を推進し、第2陣の自由貿易試験区と連動するイノベーションエリアを建設します。
このうち、いくつかの積極的に推進されている業務は、政府活動報告における「越境データフローの促進と規範化」、「電気通信、医療、教育などの分野における開放試行の拡大」などの任務と密接に関連しています。
例えば、上海自由貿易試験区臨港新エリアは昨年、第1陣の越境データフローに関するガイドラインを発表し、今年は「中国(上海)自由貿易試験区及び臨港新エリアデータ出国管理リスト」が発表されました。これを踏まえ、上海市は越境データフローの「ネガティブリスト+ガイドライン」統括管理メカニズムを改善しています。
また、工業情報化部はこのほど、13社の外資企業に付加価値電気通信事業のパイロットプログラムを承認しました。関連企業は意見内容に基づいて、インターネットアクセス、情報サービス等の付加価値電気通信業務を展開することができます。同パイロットプログラムは上海自由貿易試験区臨港新エリア及び社会主義現代化建設先導区など4カ所で率先して実施されます。初の外商独資病院もまもなく上海に登場します。
消費活性化
もう一つの重要な任務は、「消費活性化」に向けられています。
今年の政府活動報告は初めて「消費を大いに活性化し、投資効率を高め、国内需要を全面的に拡大する」ことを活動任務のトップに置きました。全文には「消費」という言葉が32回現れました。これは昨年の中央経済活動会議の基調を引き継ぎ、消費の活性化が今年の経済活動の最重要な課題であるという明確なシグナルを再び発信しました。
報告によると、今年は「消費活性化特別行動を実施し、国際的消費中心都市の建設を深化させる」ことを行わなければならないと指摘しました。これは上海の現在と今後の一定期間内における経済活動の重心でもあります。上海市は今年、サービス消費の拡大と高度化の推進をさらに重視し、力を入れて「両新」行動などの重大な消費促進活動の実施を拡大し、引き続きビジネス・観光・文化・スポーツ・展示の連動効果を拡大します。
投資に比べ、消費は経済活動における「遅い変数」です。消費を根本的に活性化するには、簡単で一時的な刺激だけでは足りなく、より多くの効果的な政策ツールが必要です。
期待に値するのは、今年、上海市は政策ツールボックスをできるだけ充実させることです。具体的には、5億元の市級財政資金を投入し、「楽・上海」サービス消費券を発行して飲食、観光、映画、スポーツ消費を支援すること、高エネルギーレベル、高集客力、高品質の公演・競技大会・展示会などの実施を推進すること、外来消費の加速成長を推進し、入国者の消費利便性を高めることなどが含まれます。
住民の負担軽減と収入増加
消費活性化のために必要な政策ツールは、就労、所得など、消費者の信頼と意欲にかかわるより多くの分野に着目する必要があります。
政府活動報告は新たに「多ルートで住民の収入増加を促進し、中低所得層の収入増加と負担軽減を推進し、労働者賃金の正常な増加メカニズムを整備する」ことを打ち出し、消費活性化の細分化任務に組み入れました。報告はまた、「フレキシブルワークと新しい就業形態の労働者の権益保障を強化し、業務上負傷保障試行の拡大を推進する」と打ち出しました。
これらの面においても、上海は先頭に立っています。昨年、上海住民の一人当たり可処分所得は8.8万元に達し、4.2%増加しました。上海市は全国で最も早く新しい就業形態の就業者の業務上負傷保障試行を開始した7省・市の一つでもあり、今後も試行を着実に拡大しなければなりません。社会保障を健全化してこそ、期待値をよりよく安定させ、消費者の信頼を高めることができます。
新たな質の生産力を発展させる
引き続き政府活動報告によって重点活動任務に組み入れられたのには、「現地の事情に応じて新たな質の生産力を発展させ、現代化産業体系を加速して建設する」こともあります。今年の新しいコンテクストの中で、それは力強い新たな原動力を提供すると同時に、供給側の構造的矛盾を解決し、高品質な供給で需要を牽引し、需要を創造するためにも役立ちます。
政府活動報告では、「商業宇宙、低空経済などの新興産業の安全で健全な発展を推進する」、「バイオ製造、量子科学技術、エンボディドAI、6Gなどの未来産業を育成する」、「革新的医薬品の発展を支援する」などが挙げられています。これらはいずれも上海が重点的に展開し、発展させている優位的産業です。
低空経済分野において、上海市はすでに文書を発表し、2027年までに全市の低空公共航路ネットワーク構造を全面的に形成し、低空飛行航路を400本以上設置する計画を明らかにしています。
エンボディドAIの分野において、上海市は人工知能、人型ロボットの「ソフトウェア・ハードウェア」の両側でいずれも国内の先進地となっています。上海企業の智元ロボットはこのほど、世界初のフルスタックオープンソースロボットとなる霊犀X1の組み立てコンポーネントを発表しました。視覚マルチモーダル大規模モデルなどのAI技術が採用された霊犀X1ロボットは、世界を「見ることができ、聞くことができ、理解することができる」エンボディドAIを持っています。
バイオ医薬品の分野において、2024年、上海市では計7種のI類新薬、15種の三類医療機器が国家薬品監督管理局の承認を得て発売され、その数は全国トップで、海外進出でも新たな突破を果たしました。上海市は革新的医薬品・医療機器の重点分野をめぐり、多様な支払いメカニズムの改善、医薬産業の革新的発展への支援など、改革に力を入れ続けています。
ビジネス環境の最適化
もちろん、外資を誘致するにせよ、地元企業の発展を促進するにせよ、各種経営主体の活力を効果的に刺激するためには、安定的で透明で期待できるビジネス環境が必要です。
政府活動報告は特に、今年は「企業関連法執行規範化特別行動を展開し、不当料金徴収、不当罰金、不当検査、不当差し押さえを集中的に取り締まり、法令に違反した遠隔法執行と利益志向の法執行を断固として防止する」と指摘しました。
「チェックコード」は上海市が今年発表したビジネス環境最適化計画案バージョン8.0の大きな特色です。気まぐれ検査及び不法検査を防止し、企業に不必要な妨害をもたらさないよう、法執行者は企業関連の現場検査時に検査任務、事項及び法執行者の情報が含まれる「チェックコード」を企業に提示しなければなりません。現在、全市では401枚のチェックコードが使用されています。
雇用の安定化と拡大
就労は民生の本で、発展の支えです。
今年の報告では、「労働集約型産業の雇用吸収と安定化を支援し、新技術の応用と職場転換を統一的に計画し、新たな雇用機会を創出する」、「大規模な職業技能の向上研修行動を展開し、製造業やサービス業で必要とされて不足しているスキル人材の供給を増やす」と指摘しています。
新たな表現には、就労と産業政策は協同して力を発揮し、労働力供給と産業需要をマッチングさせるべきだという鮮明なシグナルが含まれています。これは近年、上海が就労活動で堅持している考え方でもあります。
上海市は昨年、職業スキル向上行動を踏み込んで実施し、低所得層の短期的な指向性ある研修を大規模に展開しました。今年は重点分野とハイレベルなスキル人材へのサポートをも強化する計画です。第48回技能五輪国際大会の準備をきっかけに、産業のニーズに合わせたスキル人材をより多く育成します。
教育改革
現在の就労における構造的矛盾を解決することは、教育にもより高い要求を出しています。「大学改革を部門別に推進し、良質な学部の規模拡大を着実に推進し、『双一流』建設に拍車をかけ、学科設置調整メカニズムと人材育成モデルを整備する」と、政府活動報告は改革任務を明確にしています。
今年開催された上海市教育大会は「需給のマッチング」をキーワードとし、緊急に必要とされて不足している人材の育成においては教育教学の改革を深化させ、人材育成と社会ニーズの適合度を高めなければならないと強調しました。教育、科学技術、人材の三位一体は、互いに結びつき、好循環を形成し、質の高い発展に堅固なサポートを提供します。
※なお、本文書は、中文で作成され、日本語に翻訳されます。中文版が正本であり、日本語版は参考として作成されます。これら両言語版の間に矛盾抵触がある場合、中文版が優先します。
出典:上観新聞(Shanghai Observer)