上海港 今年コンテナ取扱量が5000万TEUを突破、世界でも初めて
12月22日午前、上海港の2024年第5000万個の標準コンテナ(TEU)の積み下ろしが終了したとともに、上海港は世界で初めて年間貨物処理能力が5000万TEUを超えた港湾となり、15年連続で世界一を維持し、世界港湾輸送史上の最高記録を打ち立てました。
上海港のコンテナ取扱量は1994年に100万TEU、2003年に1000万TEUを突破し、その後に急成長期を迎えました。 2006年に2000万TEU、2011年に3000万TEU、2017年に4000万TEUで記録の更新が続き、過去30年間、取扱量は50倍にも増加し、飛躍的な発展を遂げ、上海が国際輸送センター建設の縮図にもなりました。
12月22日午前、上海港の2024年第5000万個の標準コンテナ(TEU)の積み下ろしが終し、上海港は世界で初めて年間貨物処理能力が5000万TEUを超えた港湾となった。(写真・李茂軍/上観新聞)
今年、15600隻のコンテナ船は上海港に寄港し、日に換算すると1日平均40隻以上でした。これらの船は、広大な海を渡る350本の対外貿易航路に沿って、200以上の国と地域の約700の港の間を行き来し、グローバル産業チェーンとサプライチェーンの安全性と安定性を保証しています。
上海港は中国と世界を繋いでいます。中国の経済発展、中国と世界の経済・貿易の往来は、その350本の航路で具象化され、5000万TEUの取扱量からも垣間見ることができます。
上海港は腹地への影響力を強めています。中国の内陸地域からのコンテナは水路、鉄道、道路を通して続々と上海に輸送されてから、中国全国、または世界へと輸送されていきます。
今年1月-11月、上海港の水運から水運へのトランシップ取扱量は前年同期比12.5%増の2898万4000TEUで、トランシップの割合は初めて60%を超えました。同期間の上海港の国内貿易コンテナ取扱量は、前年同期比18%増の630万TEUに達しました。
上海国際港務集団(SIPG)の生産事業部の楊焱濱副総経理は、「上海は長江デルタに24の内陸コンテナ埠頭を設置し、1‐11月で合計40万5000TEUを取扱い、前年同期比約30%増加しました」と述べました。
発達な鉄道運輸に恵まれ、上海港の海上と鉄道の複合一貫輸送サービスは9省44市をカバーし、10本以上の「天天班」(毎日運行定期便)が安定的に運行されており、今年のコンテナ取扱量は前年比40%増の90万TEUを超え、「第14次5カ年計画」の目標を予定より1年早く達成しました。
今年、上海港の国際トランシップ業務は前年同期比20%以上増の700万TEUを超えると予想されています。
沿海ピギーバック業務、国際LCL輸送、海運による越境EC(電子取引商)業務など、その取扱量はいずれも過去最高を更新し、最終的に上海港の「5000万TEU」の記録を作り上げました。
「5000万TEU」は数の積み重ねであり、質の向上でもあります。上海港の成功には、世界第2の経済大国に位置するという「中国要因」があるだけでなく、国際的な定期船会社にとって魅力的な「上海港要因」もあります。
統計によると、2022年の遠洋コンテナ船が上海港での平均停泊時間はシンガポール、ロンドンなど13の世界主要の港での平均停泊時間より0.69日短く、つまり1隻あたり平均16.5時間節約できることです。このような高い効率性を拒否する運送会社はないでしょう。
港湾の効率化をサポートしてきたのは、デジタル化とスマート化の発展です。2017年末にSIPGは洋山第4期自動化埠頭を建設し、それ以来、改良と最適化を行い続けています。 現在、機器の平均作業効率は、同港の開港時と比較して30%以上向上しました。従来の埠頭と比べると、洋山第4期は作業員が70%減少し、全体的な効率が30%向上し、一人当たりの労働生産性が従来の埠頭の213%となっています。世界で最もエネルギー効率の高い自動化埠頭である洋山第4期の今年の取扱量は700万TEU以上であると予想されています。
長い間に黒炭と褐鉱石を輸送していた羅泾埠頭は、今年コンテナ埠頭に改造され、2.0バージョンの自動化技術をも整えました。SIPGの「哪吒科技」の黄桁総経理は、「インテリジェントターミナルオペレーションシステム(the Intelligent Terminal Operation System、ITOS)の24時間効率的な稼働によって、今年8月の開港から半年足らずで、取扱量は100万TEUに達しました」と話しました。
「同時に、上海港はしばしばグリーン化の分野でベンチマークを作り、率先してグリーン燃料バンカリングサービスなどの新しい業態を開始し、港湾基地電力施設を完備しています。これは国際的な定期船会社のクリーンエネルギー、グリーン・低炭素に対する需要を満たし、海運会社を惹き付ける要素にもなっています」と黄桁氏が語りました。
上海のハブとしての地位の向上は、政府機関や港湾機関の改革と革新と切り離せないです。 上海市交通委員会とSIPGは、国際コンテナ輸送サービスプラットフォームを構築し、港湾・航運・貿易の統合発展を促進し、ワンストップサービス、一括検索、一体化した監督管理を実現したため、海運会社が「分単位」での業務処理と便利な物流追跡の体験ができました。
5000万TEUの取扱量を実現したことは、上海港湾の実力を示したと同時に、上海の強靭さをもピーアールしました。新華・バルチック国際海運センター発展指数のランキングで、上海は5年連続で世界3位を維持しました。
今年、上海市司法局は率先して「上海市渉外商事海事臨時仲裁推進弁法(試行)」を発表し、8月1日から施行しました。これにより、制度上のアイスブレイクが実現され、「全世界の海運会社がどの規則、どの法律を選んでも、上海は会社が上海を仲裁地に選ぶことを歓迎します」という明確なシグナルが発信されました。
9月末、初めて外国の当事者が臨時仲裁地をロンドンから上海に変更しました。現在、上海はすでに世界で最も人気のある仲裁地のトップ10に入り、今年全国初の外国仲裁機関も設立されました。
また、金融業と海運業の接点である海運保険と海運金融も海運サービスの一部です。これについて、今年も新たなブレークスルーを遂げました。
海運業の発展は、グローバル化の発展の証となっています。国際輸送センターの栄枯盛衰には、世界経済構造の変遷が凝縮されています。
12月18日15時35分、23日間の昼夜連続の運航を経て、最初のペルーのチャンカイ港からの船である中国遠洋海運(COSCO SHIPPING)傘下の「新上海号」が洋山港に到着し、新しい航路の誕生を示しました。これまでと比べると、航海日数がほぼ半分近く短縮され、中国と南米の貿易関係がより緊密になっています。
2003年以来の約20年間、上海港のコンテナ取扱量は年平均6.5%以上の増加率を維持しており、2004年に釜山港、2010年にシンガポール港を上回りました。
しかし、ここ数年、世界で「ブラックスワン」事件が頻発し、不確実性が増加し、国際企業はサプライチェーンの信頼性により注目し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンがリセットされ、航路構造が大きく変化し、国際航運にインパクトをもたらしています。
それでもなお、チャレンジと共にチャンスも生み出しています。
中国は「世界の工場」から「ブランド海外進出」への飛躍を加速させています。上海は「出海」(海外進出)するのに必要なあらゆる種類のリソースを備えており、上海国際輸送センター建設の成果は地域から世界への企業の物流ニーズを限りなく満たすことができることをますます多くの企業はわかってきています。
それと同時に、世界で第5世代港湾建設が盛んに進行しており、「航運+港湾+物流」の立体的な相互接続と港湾・航運・貿易の一体化した生態圏を構築することを通じて、世界の生産要素が効果的に集められ、グローバル産業チェーン・サプライチェーンに活力を吹き込んでいます。COSCO Shippingの張勇副総経理は、世界中の港湾が徐々に航運の範囲から飛び出ており、上海国際輸送センターも地域の経済発展と深く結びつくべきだと指摘しました。
この面では、上海がいろいろと手を打って、取り組みを加速しています。羅涇港第2期建設と小洋山の北側の海岸線の開発が着実に進められており、上海港が貨物取扱量における優位性を維持するのに役立ちます。また、上海は中国内外の陸海空の連携を深化させ、海運+航空輸送、海運+「中欧班列(国際定期貨物列車)」などの新モデルを積極的に発展させ、輸送ハブの連携能力を大幅に向上させ、近洋輸送需要の増加に応え、各種類の輸送手段のシームレスで効率的な連携を促進します。
デジタル化、スマート化、グリーン化の発展方向に焦点を当て、上海はより多くのベンチマーク的な新しいサービス、新しいモデルを構築しています。
市交通委員会によると、上海市はスマート港湾、スマート空港、スマート航路の建設を強力に推進し、上海港スマート生産指揮センターの建設を加速し、さまざまな応用シーンを開拓し、船舶会社の効率向上とコスト削減を支援します。それとともに、グリーン燃料バンカリングセンターの構築を加速し、カーボンフットプリント認証などの面で率先して突破するために取り組んでいます。
ハイエンドの航運サービスの発展に関しては、上海は「5つのセンター」の連携優位性を最大限に発揮し、開放性と接続性をさらに強化し、良好なソフト環境を作り出し、市場主体、人材、技術、サービスなどの資源要素の国際的な移動と供給を促進し、グローバルな資源配分の能力を強化し、航運金融、保険、海事仲裁のグローバルサービス能力を強化します。
上海は、世界をリードする国際輸送センターを建設するという戦略的目標を見据え、ハードパワーを整備し、ソフトパワーを発展させ、新しい分野を開拓し続け、より多くの革新的な実践を通じて、中国と世界の経済発展によりよく貢献し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの円滑な運行に活力を注いでいきます。
出典:解放日報