世界の芸術が都市の日常へ――上海国際芸術祭の市民向けイベント「芸術の空」まもなくフィナーレ

japanese.shanghai.gov.cn| 2025-11-14

第24回中国上海国際芸術祭の市民向けイベント「芸術の空」が終盤を迎えています。この1か月余り、「芸術の空」は「壁のない劇場」というコンセプトを掲げ、38の国と地域から47作品の優れた舞台芸術を招き、計118回の公演を実施しました。その舞台は上海のランドマークや商業エリア、水辺や緑地にまで広がり、オンラインとオフラインを合わせて延べ1000万人を超える観客がその芸術を楽しみました。

同イベントは「15分芸術圏」を通じて、市民が高質な芸術に身近に触れられる環境を実現します。そして、多様な芸術コンテンツを提供することでさまざまな層の人々のニーズに応え、文化・観光・商業・スポーツ・展示会を深く融合させることで、都市の活力を引き出しています。

「芸術の空」は一貫して市民の文化的ニーズに焦点を当ててきました。ランドマーク広場から街角の商業エリア、美育空間から水辺の緑地に至るまで、「15分芸術圏」は空間の創造性と的確な設計を活かし、芸術と生活の垣根を取り払っています。世界レベルの芸術資源を都市のすみずみまで浸透させ、身近な路地にまで届けています。それは、市民にとって手の届く文化的な恵みとなっています。

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3年連続で屋外交響コンサートが開催されている上海展覧センターの噴水広場。10月5日には、指揮者の許忠氏がタクトを執り、「カルミナ・ブラーナ」などの名曲を披露。(写真・上観新聞)

「モダンなランドマーク」「公園緑地」「トレンド商業エリア」「都市の水辺」「美育空間」という5つのパフォーマンス・ユニットを基盤に、イベントでは「一団体、一会場、一策」という方針のもと、芸術と都市のきめを深く融合させています。臨港の滴水湖のほとりでは、イタリアのGOBオカリナ七重奏団による「土の音」が湖面の夜景と溶け合い、東西のリズムが交錯する幻想的なひとときに観客は酔いしれました。四平映画館では、フランスのミ・ジュヌ弦楽四重奏団がチャップリンのサイレント映画に生演奏で弦楽伴奏をつけ、光と影が移ろう中で観客に古典の魅力を再体験させました。普陀区の「週末親子マジックシアター」には、8つの国と地域から一流の親子向けアートチームが集結し、国際的な受賞歴をもつマジックや人形劇などを上演しました。ハイレベルな芸術的体験が子どもたちの心に芸術の芽を根づかせています。

現在、市民の精神文化的なニーズは、多様化と高質化が同時進行する傾向にあります。「芸術の空」は、「全年齢層・全芸術分野」の提供を核とし、多彩な芸術表現、柔軟な空間設計、洗練された舞台品質によって、それぞれの人々が自分だけの芸術的共鳴体験を得られるように工夫されています。

都市のステージでは、芸術のジャンル・表現形式・地域の垣根を越えた公演が華やかに繰り広げられています。エストニア・フィルハーモニー室内合唱団やイタリアのトランペットの名手アンドレア・ジューフレーディなど、世界トップクラスのアーティストが登場し、一流の芸術を市民の手の届く距離に届けました。また、陝西演芸集団の「芸海秦風」、広州南国醒獅団や普寧南山英歌隊による無形文化遺産が披露され、伝統技芸が現代の舞台で新たな輝きを放ちました。さらに、日本のOKI Rekpoバンドによる前衛的なパフォーマンスや、児童劇「如意記」などのインタラクティブな舞台も上演され、観客の多様なニーズに応えながら、誰もが楽しめる芸術を創り出しました。

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BFC外灘金融センターで「芸術の空」パフォーマンスを披露する外国のアーティスト(写真・上観新聞)

国際的な視野と地域文化の底力がぶつかり合うことで、「芸術の空」の公演はより深い文化的感動を生みだしています。ロシアのチュメニ国立フィルハーモニー管弦楽団はピアニストの方演と共演し、「紅旗頌」の壮大な高揚感と、チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」の優美な旋律を奏で、中国とロシアの分化が音楽の中で見事に融合しました。また、イタリアのGOBオカリナ七重奏団と中国伝統音楽グループ「自得琴社」が共演し、「茉莉花」「草原に昇る落ちない太陽」などの名曲を披露しました。国境を越えた芸術の対話が中国と外国の文明の交流と相互理解の新たな章を紡ぎ出し、異なる文化的背景を持つ観客それぞれが、旋律を通して感情の共鳴を感じることができました。

今年の芸術祭では、黄浦区と協力して「街に劇を(上街入劇)」という新しいブランドを立ち上げ、「劇場を街頭へ」をコンセプトに、無形文化遺産の公演、海外舞台作品、ストリートパフォーマンスなど多様な演目を商業エリアにシームレスに取り入れ、芸術と商業の双方向的な活性化を実現しました。その結果、イベント期間中、思南公館の商業エリアの来訪者数は35%増加し、チケット半券と連動した特典キャンペーンにより、芸術体験が消費促進の原動力へとつながりました。

さらに、アリペイ(Alipay)による支払いサポートや、滴滴出行(DiDi)による40カ所以上の会場を対象とした特別割引サービスが提供され、観客の「最後の1キロメートル」をスムーズにつなぎ、市民がより安心かつ快適に芸術を楽しみに出かけられる環境が整えられました。

出典:上観新聞

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