鈴木雅明氏&バッハ・コレギウム・ジャパンが中国・上海で初公演

japanese.shanghai.gov.cn| 2025-11-04

11月2日午後、上海音楽庁のバックステージで、日本の指揮者でありチェンバリストである鈴木雅明氏はダークスーツを身にまとい、穏やかな口調でこう語りました。「バッハの力は文化を超えるものです。それは私たちに生命力と生き続ける勇気を与えてくれます」。上海音楽庁の設立95周年特別企画および第24回中国上海国際芸術祭への参加作品として、このコンサートは鈴木雅明氏とバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の中国初公演であり、中国本土で一度きりの公演となります。

バッハ・コレギウム・ジャパンは1990年に創設され、創設者である鈴木雅明氏の指導のもと、国際的に認められたバッハ作品の演奏となり、「透明で繊細、バランスがよく取れ、劇的な緊張感に満ちた」独特の演奏スタイルで世界的に高い評価を得ました。1995年からは、バッハのカンタータ全65曲を録音するという23年にわたる大規模なプロジェクトを開始し、2018年に完結させ、「録音史上のマイルストーン」と称賛されました。

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公演の様子(写真提供・上観新聞)

鈴木氏は、彼によるバッハの演奏が最初にヨーロッパに衝撃を与え、「ドイツの音楽評論家たちは当初、アジア人音楽家によるバッハの演奏を受け入れることに抵抗を感じていました」と述べました。しかし、時が経つにつれ、彼はライプツィヒの「バッハ・メダル」(2012年)、ロンドン王立音楽院・バッハ賞(2013年)、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章(2001年)を受賞し、その実力ですべての疑念を払拭しました。

アジアのバロック音楽復興の中心人物であり、バロックの巨匠トン・コープマンの直弟子である鈴木雅明氏は、独学から始めて独自のバッハ演奏体系を構築し、30年かけてバッハの音楽が全世界に属することを証明しました。

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鈴木雅明氏(写真提供・上観新聞)

コンサートの前半では、バッハのオーケストラ作品の代表的な2曲が演奏されました。『管弦楽組曲第3番』BWV1068では、第2楽章「アリア」から編曲された「G線上のアリア」が美しい旋律で広く親しまれています。『2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 』BWV1043は、精巧なポリフォニー技法と劇的な音楽との対話により、バロック協奏曲の模範となっています。

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公演の様子(写真提供・上観新聞)

後半の世俗カンタータ『フェーブスとパンの争い』は、今回の公演における最大の見どころでした。長大な作品で題材も特殊なため、現代のコンサートで完全に上演される機会は極めて限られています。

特筆すべきは、ソプラノ歌手のジョアン・ラン(Joanne Lunn)が、この曲のアルバム録音時のオリジナルメンバーとして、コンサートで再びモムス(Momus)役を演じたことです。これはバッハ生誕340周年への心のこもった献礼であると同時に、中国の観客にとってバッハの劇的な魅力を感じる貴重な機会でもあります。

出典:上観新聞