京劇、シンフォニー、オペラが、中国の詩歌を「海外進出」させる

japanese.shanghai.gov.cn| 2024-12-17

公演現場の様子(写真・上観新聞)

12月6日夜、上海東方芸術中心のコンサートホールで創作詩歌劇が上演されました。詩人であり学者でもある周宏橋は「ようやくイノベーションの道を見つけました。経営学理論から言えば、差別化された競争です」と語りました。彼はこの国境を越えた公演の創作者兼プロデューサーであり、詩と音楽の組合せを通じて、中国の伝統文化を革新し、継承したいと望んでいます。

詩人・学者の周宏橋氏(写真・上観新聞)

中華民族は詩の民族であり、古典詩歌は唐・宋の時代にピークに達しましたが、その後の数百年もの間、なぜ受け継がれなかったのでしょうか。これは周宏橋が反芻してきた疑問であり、今回の越境公演の原点でもあります。

『史記』によれば、当時『詩経』(中国最古の詩歌集)は歌われるものでした。楚辭(中国南部の地域の文学形式)、唐詩、宋詞なども同じく歌われていました。周宏橋は、優雅な芸術の詩や詞は、当時の歌として広まったと述べています。一方で、元・明・清の時代には、大衆向けの通俗芸術である元曲(元代の戯曲・散曲)、説書(中国の伝統的な口頭文学)、小説などの物語性や演劇的な葛藤を盛り込んだ新しい芸術スタイルが台頭し、文学の主流は次第に詩や詞から演劇や小説へと次第に移り変わっていきました。彼の考えでは、中国の新古典詩の復興には、詩と音楽が調和する古典的伝統を回復する必要があり、人類の共通言語である音楽を通じて初めて「文化の海外進出」をよりよく実現することができるのです。

周宏橋は「音楽」を3つのレベルに分けており、「最も高いのは演劇で、例えばオペラ、オラトリオなどです。次に、交響楽、ソナタ、協奏曲などの音楽です。そして、流行歌などの歌曲です。中国古典の詩歌文化が海外進出するには、演劇と音楽、特に演劇レベルに達する必要があります。例えばオペラ『トゥーランドット』がイタリア語で歌われ、他の国の観客には理解できないかもしれませんが、音楽という言語に変えると世界中に広めることができ、演劇として100年もの間上演され続けることができます」と語ります。

公演現場の様子(写真・上観新聞)

この詩と音楽のオリジナル・オペラは、第1部が「家と国への思い」をテーマにし、上海京劇院の国家的俳優である傅希如が交響京劇『英雄』を演じます。第2部では「人生の悲喜交々」をテーマに、大規模な交響声楽作品『人生の四季』を上演します。第3部では、芸術曲『傷ついた死』を通じて「縁と愛」について語り、続いて「詩と酒の年月」をテーマに、大合唱『詩酒人生』が披露されます。グランドフィナーレを飾る演劇『天国詩酒話情愛』は、周宏橋の詩劇『天国詩酒話情愛』を改編したもので、中国の絶世の才女である李清照が天上で酒宴を催し、中華民族の5大詩人である屈原、陶淵明、李白、杜甫、蘇東坡を招待するという、想像力豊かな物語です。

周宏橋が記者に語ったところによると、初演後、この詩歌劇は来年の「上海の春」国際音楽祭でさらに磨きをかけ、「海外進出」の第一歩として、来年4月24日に日本の東京

オペラシティで上演される予定とのことです。

出典:上観新聞(Shanghai Observer)