【都市のイメージ】上海の文芸系歴史的建築物をたどる

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上海の文芸系歴史的建築物の多くは、20世紀初頭から中期にかけての都市発展の黄金期につくられたものです。この時期の建築には、時代の芸術的な追求が刻み込まれているとともに、上海が中国と西洋の文化的交差点として持つ独特な気質が反映されています。

これらの建築の様式は多彩で、例えば、新古典主義の規範に従い、荘重な柱式、左右対称のファサード、優雅な内装によって古典芸術の雰囲気を伝える上海音楽庁のような建築物があります。一方で、美琪大戯院のようにアール・デコ様式を融合させ、幾何学的な線条、金属的な質感、流線型のデザインによって、近代の演劇や映画のモダンさを表現するものもあります。また、上海大世界のように折衷主義と民俗的な特色を兼ね備え、多様な空間構成と市井的な装飾によって雑技・戯曲・曲芸など民俗芸能の上演需要に応えるものも存在します。

上海音楽庁

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上海音楽庁の現状(写真・WeChat公式アカウント「上海住房城郷建設管理」、以下同様)

上海音楽庁は延安東路523号に位置し、1930年3月に建設されました。その前身は南京大戯院であり、中国人建築家・范文照と趙深が設計した、上海初の新古典主義様式の劇場であり、中国初の音楽ホールでもあります。

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1930年代の上海音楽庁(旧南京大戯院)写真

音楽庁はヨーロッパ古典主義様式で、鉄筋コンクリート・組積造・木造屋根架を組み合わせた構造形式を採用しています。敷地面積は4230.8㎡、建築面積は12986.7㎡です。その正面門楼の上部には、2本の半円形古典円付柱と2本の4分の1円壁柱が配置され、3つの開口を持つ壁龕と3つのアーチ窓を形成しました。上部には浮彫装飾と彫刻屋根を配し、建物全体が優雅で壮麗な趣を呈しています。

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上海音楽庁内部

上海音楽庁は上海の文化的ランドマークの1つとして、市民や観客にとって特別な意味を持ち、「上海の都市音楽サロン」と呼ばれています。1960年以降、歴代の「上海の春」国際音楽フェスティバルや中国上海国際芸術フェスティバルなどの主要な音楽イベントがここで開催され、中国内外の音楽団体が上海に来た際も、多くがここで演奏を行ってきました。

美琪大戯院

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美琪大戯院の現状

美琪大戯院は静安区江寧路66号に位置し、1941年に建てられました。建築家・范文照の代表作であり、上海の重要な文化ランドマークの1つです。「美琪」という名称は観客から応募された数千の中から選ばれ、「美輪美奐、琪玉無瑕」という意味があります。上海西部の初上映が行われる劇場として「アジア第一」「極東第一の劇場」と称されたこともあり、上海の歴史と文化の証人です。梅蘭芳、ウラノワなどの巨匠もここで舞台に立ち、名作を上演しました。

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美琪大戯院の旧写真

美琪大戯院は敷地面積は約4250㎡、建築面積は約7220㎡で、2階建て鉄筋コンクリートのフレーム構造で、全体としてアール・デコ様式の特徴を示し、機能的なレイアウト、変化に富む空間、室内階段や床にはクリーム色のテラゾーが用いられています。柱の壁面の彩色も新鮮で上品であり、外観から内部にいたるまで、近代アメリカ式建築の簡潔で明快な設計手法を体現しています。

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美琪大戯院内部

上海大世界

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上海大世界の現状

上海大世界は黄浦区延安東路と西蔵南路の交差点、西蔵南路1号に位置し、1917年に建設されました。かつては「東アジア第一の遊楽場」であり、南北の戯曲が次々と上演される演芸の中心で、多くの名優がここで名を馳せました。「大世界に行かずして大上海に来たとは言えない」と言われたほどで、現在では、大舞台は無形文化遺産の雑技、曲芸、歌舞、大衆芸術のパフォーマンスのプラットフォームとなり、社会の団体にも開放され、文化の大舞台となっています。

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1950年代の大世界の自転車ショーと劇場内部の様子

上海大世界は敷地面積8000㎡以上、建築面積は14700㎡に及びます。12本の円柱で構成される六角形の尖塔は高さ55.3mに達し、社会的価値だけでなく、歴史的価値も有しています。現在の上海大世界は総面積16800㎡、U字型構造の4階建てで、舞台は2階から4階に設置され、各階4つ、計12のホールを備えています。

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現在の大世界内部

出典:WeChat公式アカウント「上海住房城郷建設管理」