「十万馬力で七十二変化へ」クロスオーバー現代アート展、上海で開幕

japanese.shanghai.gov.cn| 2025-10-27

10月23日午後、上海BFC外灘金融センターにて、「十万馬力で七十二変化へ」と題するクロスオーバー現代アート展が開幕しました。本展は、上影元(上海)文化科技発展有限公司(以下「上影元」)が株式会社手塚プロダクション(以下「手塚プロ」)、および中国の現代アーティストの黄小眠による共同企画です。アニメーション史に残る名作IPの人気キャラクターを、現代アートの言語を用いて再構築し、時空を超えた文化の架け橋を築くことを目指しています。

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「十万馬力で七十二変化へ」と題するクロスオーバー現代アート展(写真・新民晩報)

本展は『大鬧天宮(西遊記・大暴れ孫悟空)』『金猴降妖』『鉄腕アトム』といった名作アニメ作品に焦点を当てています。黄小眠は独自の美的視点と現代アートの手法を用いて、世代を超えて愛されてきたこれらキャラクターたちに新たなビジュアル表現と時代的意味を吹き込みました。展示構成は「過去--現在--未来」を物語の軸とし、3つのテーマ展示エリアに分かれています。人気IPの多様な解釈と、現代社会における革新的表現が体系的に紹介されています。

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「十万馬力で七十二変化へ」と題するクロスオーバー現代アート展(写真・新民晩報)

この展覧会の背景には、2つの名作IPの40年以上にわたる深い縁があります。1980年代、日本のアニメーションの巨匠・手塚治虫は中国アニメの影響を強く受け、たびたび訪中して中国アニメ界と交流を深めました。ある会談では、『大鬧天宮』のチーフアニメーターであり、上海美術映画製作所の元所長である厳定憲が招かれ、手塚治虫と共に孫悟空とアトムが握手する絵が一緒に描かれるという歴史的なことがありました。これは2つの象徴的な人気キャラクターが初めて「同じ画面に収まった」貴重な瞬間を記録するものでした。その後、手塚治虫は日本アニメーション学会を代表して、孫悟空がアトムを抱きしめる絵を自ら描き、上海美術映画製作所に贈呈しました。この作品は、国境を越えたアニメーションの友情を象徴する貴重な証として今も語り継がれています。

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厳定憲と手塚治虫による「孫悟空とアトムの握手」(左)、厳定憲と手塚治虫の握手写真(右)(写真・新民晩報)

今回の展覧会は、こうした文化的な深い縁を糸口に、現代アートという新しい文脈の中で、名作IPの新たな対話を再び紡いでいます。展覧会のテーマにある「七十二変化」は孫悟空が象徴する無限の創造力を、「十万馬力」はアトムが象徴する科学技術のエネルギーを意味しています。両者の結びは、テクノロジーの力で文化革新を推進することを象徴するとともに、古典と流行、伝統と現代の境界を打ち破る試みでもあります。アーティストの黄小眠は「サステナブル・アート(持続可能な芸術)」という理念のもと、2つのIPを視覚的に解体し、美学的に再構築することで、数十年にわたって文化的な縁で結ばれてきた2人のヒーロー像を、環境保護、技術革新、人文共生といった現代的課題の中に置き直しました。そこに新時代の使命を付与し、キャラクターの再生から精神の継承へと昇華させました。

開幕式では、手塚プロの松谷孝征代表取締役社長からも祝辞が寄せられました。松谷氏は「孫悟空とアトムを現代の展覧会で新たに甦らせてくださった上影元と黄小眠氏に深く感謝を申し上げます。手塚治虫は生前、中国アニメとの交流と友情を非常に重視していました。このような形で、これらのアニメ作品がさらに輝きを放つこと心から願っております」と述べました。

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「十万馬力で七十二変化へ」と題するクロスオーバー現代アート展(写真・新民晩報)

本展は、高まる文化消費ニーズに応えるべく、上影元が推進する「IP+文化・観光・スポーツ・展示」融合モデルの新たな実践でもあります。名作アニメIPを現代アート、商業空間、文化観光などの分野と深く融合させることで、上影元はよりインタラクティブで体験性の高いIPビジネスモデルを確立しました。消費の潜在力を喚起すると同時に、IPの文化的表現の境界を拡張することで、文化消費の新しいシーンを創出して、都市の文化観光産業に新たな成長のエネルギーを注入しています。

この展覧会は10月25日より一般公開され、来年1月25日まで開催されます。

出典:上観新聞、新民晩報