外資系小売業が相次いで「上海の物語」を綴り続ける

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復旦大学消費市場ビッグデータ研究所の最新データによると、2025年1月から7月にかけて、上海には554軒の「1号店」が新たにオープンしました。そのうち、グローバルおよびアジア1号店が11店舗、全国1号店が85店舗で、ハイレベルな1号店の割合は延べ17.3%に達しました。ブランドの発祥国は、中国、日本、フランス、イタリア、アメリカ、韓国、イギリス、ドイツなど多岐にわたります。

2025年上半期には、HOKA(ホカ) の世界初のエクスペリエンスセンターやコーチの世界初のリゾート店舗などの象徴的なプロジェクトが相次いで上海に進出しました。今年下半期に入っても「1号店経済」は依然として活況を呈しています。5月にはアディダス傘下のアディダスオリジナルスのグローバル旗艦店が徐匯区の安福路にオープンし、7月にはフランスのアウトドアスポーツブランド・サロモンの世界初のコンセプトストアがその隣にオープンしました。9月には、66年の歴史を持つグローバルシューズブランド・ハッシュパピー(Hush Puppies)の中国初のテーマ旗艦店が楊浦区の合生匯にオープンし、ロンドン発の子供服ブランド・ウィンケン(Wynken) の中国初店舗も浦東新区の晶耀前灘に進出しました。また、ファストファッションブランドH&Mの中国初となるブランドエクスペリエンスセンター「ハウス・オブ・H&M」も都心部の淮海路にオープンしました。

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「ハウス・オブ・H&M」が9月9日にリニューアルオープンしました。(写真提供・上観新聞)

改革開放以来、外資系ブランドは先進的な小売技術と理念を持ち込み、上海が中国小売業界の対外開放の最前線に立ち続けるようにしてきました。従来の単純な店舗展開とは異なり、現在の外資系小売業の現地化は「高度な適応」に焦点を当て、ローカライゼーション2.0時代の3つの「切り札」を打ち出しています。

一つ目は、体験型消費の拡大です。リニューアルオープンされた「ハウス・オブ・H&M」は、もはや従来のアパレルショップではなくなりました。店内には「H&M HOME」コンセプトストアが設けられており、これは中国で初めてH&Mのホームコレクションに特化したコンセプト空間です。また、「H&Mカフェ」では手頃な価格のコーヒーを販売し、テイクアウト窓口も設け、ミニプログラムからも注文できます。さらに、コーヒー関連グッズも販売する「H&Mフラワーショップ」が設けられています。地下1階には「H&M SPACE」が設けられ、H&Mのオートクチュールシリーズを展示するほか、年間を通じて国際的および国内のファッションアーティストによるテーマ展を開催する予定です。

二つ目は、「コストパフォーマンス」の向上です。今年9月、イケア中国は新たなブランドポジショニング戦略を導入するだけでなく、中国の特色ある「シルバーエコノミー」分野に向けて、「高齢者に優しい居住環境」プロジェクトを推進し、高齢者向け買い物割引を実施するとともに、150種類以上の低価格製品の発売を計画していることを発表しました。

三つ目は、「オンライン戦略」の深化です。9月8日、ユニクロは京東(JD.com)との新たな提携を発表し、消費者は京東アプリで「ユニクロ」と検索すると、公式ミニプログラムにアクセスしてショッピング可能となり、2025年秋冬コレクションの一部新作も京東で中国国内のオンライン先行販売を実施します。一方、H&Mは「ハウス・オブ・H&M」の1階に特別ライブ配信スタジオを設置し、芸能人やファッションブロガー、KOL、モデルなどを招いた週次定例配信を実施し、「オフライン体験とオンラインアクセス」の融合を実現しました。これはH&Mの世界初の店内に設置されたライブ配信スタジオでもあります。

2025年1月から7月にかけて、上海市の社会消費財小売額は前年同期比2.5%増となり、7月の伸び率は7.8%増と今年上半期を大幅に上回る伸びを示しました。このデータは上海ひいては中国経済の強靭さを如実に示しています。専門家によると、これこそが外資系小売業が相次いで「上海の物語」を綴り続ける根本的な理由です。しかし、ローカライゼーション2.0時代に向け、外資系小売業に求められるのは単なる戦略の調整ではなく、中国市場に深く根を下ろし消費者を獲得する「コア・コンピタンス」の構築です。

出典:解放日報