外資企業が長寧に進出する理由は?

上海虹橋海外人材ワンストップサービスセンター|

現在、上海の外国資本と外資企業の集積地である長寧区には計3500社の外資系企業が集積しています。資金源は78の国と地域に及び、多国籍企業の地域本部や外資研究開発センターが102か所あります。2024年の1-11月、長寧区には多国籍企業の地域本部が4か所、外資研究開発センターが1か所追加され、2024年の1-10月、長寧区の実際外資導入額は前年比5.9%増加し、増加率は上海トップクラスになっています。

長寧区は歴史的な蓄積と現代的な活力を兼ね備えており、観光客が上海を体験するのに最適な場所です。では、長寧区はなぜ外資企業が上海に進出する第一の選択肢となったのでしょうか?長寧区の外資経済はなぜこれほど繁栄しているのでしょうか?

fig1+题图(1).jpg

(写真・VCG)

成長の「沃土」の育成

複数の多国籍企業の地域本部、外資研究開発センター、民間企業の本部が長寧区に「定着」することにしたのは、ここが上海の中心エリアの1つであるだけでなく、本部経済の発展にふさわしい現代的なサービス、人工知能、新金融、貿易と展示会、航運物流、居住環境などの支援体制が整っているためでもあります。

「現在、不二製油の販売業務は上海に集中してきており、2024年の上海での納税額は2023年比で2倍増になると見込まれています」と上海長寧に中国本部を置く日本企業、不二(中国)投資有限公司の峯村政孝董事長は語りました。「会社設立の初期段階では、長寧区の関係部門から強力なサポートを受けました。彼らは丁寧なサービスで、貴重な政策指導や資源のマッチングを提供してくれただけでなく、多くの問題を解決するのに役立ち、会社の発展のための強固な基盤を築きました」。

長寧区は、企業向けの「三級三系(3レベルの3システム)」の連絡サービスメカニズムの最適化に力を入れています。上海市長寧区投資促進弁公室副主任の恵文曄氏は、同メカニズムは長寧区政府が重点企業と深く接触し、専門部署が業務の特性に基づいて企業を精確に訪問し、街や鎮がサービス主体として、重点企業のあらゆる面での需要を収集する仕組みだと説明しました。重点企業に、「包摂政策パッケージ」、「個性化政策パッケージ」、「要望インタラクションパッケージ」を含む「サービスパッケージ」を提供し、企業が政策を正確に把握し、サービスを獲得し、上海でより良く発展できるよう支援します。

現在、長寧区では160名のサービス管理人が各重点企業に対応しています。上海市の「サービス管理人業務ガイドライン」に基づき、毎月業務指示を策定・配布し、「投資促進大講堂」プラットフォームを活用して、専門的な業務研修を実施しています。これにより、サービス管理人が企業の緊急かつ重要な課題に迅速かつ効果的に対応し、「すべての案件に対応し、すべての問い合わせに返答する」ことを徹底しています。

「長寧区は外資企業の発展に全面的な支援とサービスを提供し、競争の激しい市場環境の中で前進し続ける力を与えてくれました」と、米IFF社の副社長兼IFF Nourish事業部大中華区総裁の李永敬氏は述べました。長寧区政府は投資・企業誘致を非常に重視しており、一連の強力な支援政策を提供しています。長寧区の国際的なビジネス環境や豊富な展示会イベントなどのおかげで、最新技術や製品を披露する重要なプラットフォームが提供されています。

さらに、長寧区は関連政策を継続的に改善し、外資企業の成長に適した土壌を育成し続け、区の優れたビジネス環境の構築に貢献しています。2023年2月、長寧区はビジネス環境最適化並びに投資促進大会を開催し、ビジネス環境最適化行動計画7.0版と新たな質の高い発展促進政策を発表しました。

1つ1つの企業支援措置は、革新の原動力と発展の自信に転換し、企業の成長を後押ししています。2023年、住友電工管理(上海)有限公司は登録資本金を200万ドル(2億9500万円)から2億5300万元(約51億4900万円)に増資し、宝可夢(上海)玩具有限公司は登録資本金を1億2000万円から17億2000万円に増資しました。日本企業が中国市場に対する「投資拡大」を続ける背景には、長寧区北新涇街道の努力があります。

北新涇街道の厳夏飛副主任は、同街道は外資企業が集積し、機能性機関が多数存在するという優位性を活かし、大虹橋ビジネスサービスセンターのキャリア機能を拡大することによって、中日応接間、デジタル低炭素産業連盟、蘇河源企業家サロンなどのプラットフォームを構築し、企業の健全な成長を全力で支援し、地域経済の質の高い発展を後押しすると表明しました。さらに、北新涇街道は長寧区商務委員会などの関係部門と連携し、積極的に企業を訪問して政策を説明し、政策を多くの企業に届けます。

交流による発展への促進

先日、長寧区虹橋街道で「発見長寧―虹橋アフタヌーンティー」イベントが開催されました。 400社以上の企業が虹橋街道と交流し、100名以上の企業家が虹橋「パートナー」クラブのメンバーとなり、35社の優良企業が虹橋街道に拠点を置くことにしました。「アフタヌーンティーは小規模で精確なプロモーションを開催し、長寧の重点産業分野に焦点を当て、地域の資源を展示し、長寧・虹橋のビジネス環境と支援政策を紹介しました」と虹橋街道弁事処主任の崔莉霞氏は述べました。2024年11月現在、同イベントにより長寧区に42のプロジェクトが導入され、その登録資本金は1億1200万元となっています。現在、同ブランドイベントは、外国企業の集積を促進し続け、政府と企業間の交流とコミュニケーションの機会を提供し、投資を誘致し、地域経済の発展を促進する「秘訣」となっています。

過去1年間、「発見長寧―虹橋アフタヌーンティー」イベントが15回開催されました。虹橋街の外国関係性の高さや外資企業の集中といった特徴に合わせて行われたドイツやサウジアラビアの企業向けの特別イベントのほか、長寧区の「3+3」重点産業や新たな質の生産性をめぐり、デジタル経済、低空経済、バイオ医薬などの業界向けの特別イベントが相次いで開催され、外資企業が政府と交流・対話するプラットフォームを提供しました。

プラットフォームの設立により、文化、経済、貿易分野での交流が強化されました。長寧区僑務弁公室の陳豊主任は、2023年、長寧海外聯誼会が「国際隠れたチャンピオンの長寧訪問」イベントを主催し、長寧の優れた海外企業に対する投資誘致を強化し、スマート製造、人工知能などの産業と長寧の「3+3」重点産業との深いマッチングを推進し、複数の主体が共同で中独オフショアイノベーションセンターと中独創業インキュベーションセンターを建設し、長寧が外資誘致や国際協力推進において新たな突破を遂げることをさらに促進すると述べました。

同時に、長寧区は各国・地域の産業環境を踏まえ、虹橋友誼聯盟、大虹橋中日企業交流発展聯盟、大虹橋―中欧企業越境交流協力プラットフォームなどを設立し、長寧区の産業集積と「デジタル長寧」の先発優位を組み合わせ、各地域の企業向けの越境貿易交流プラットフォームを構築し、長寧区のビジネス環境を継続的に最適化してきました。そのうち、中日企業交流発展聯盟は、国際経済専門家CPTPPテーマフォーラム、投資促進中国企業サービス交流会、企業家サロンなど、さまざまな活動を開催し、外国企業が中国へ継続的に投資することへの自信を高めてきました。

現地の中国企業との交流・協力の強化も外資系企業の継続的な投資拡大を促進しています。「過去10年間、ボッシュは中国市場に約500億元を投資しており、平均すると年間約50億元です」とボッシュ中国総裁の徐大全氏は語りました。現在、ボッシュ・モビリティ・グループの中国での収益の約60%は現地企業との協力によるものだと同氏は表明しました。中国における新エネルギー車とスマート運転技術の急速な発展に伴い、ボッシュのこれらの分野における事業は急速な成長を遂げています。これから、ボッシュは、特に電気化、自動化、コネクテッド化の分野において、中国市場への投資を継続的に拡大していきます。

人材エコシステムの最適化

長寧区では、政府と企業が協力して、人材に十分な獲得感を与える一連の革新的な「ハード措置」を実施し、共生的、内生的、融合的な人材革新エコシステムを構築しています。

虹橋国際中央商務区の重要な一角であり、上海で最も国際化された中心区の一つである長寧区は、近年、ハイレベル人材を誘致するための取り組みを継続的に強化してきました。 2023年11月に開催された第1回「海聚英才、薈萃長寧」人材高質発展フォーラムで、長寧区海外人材サービスパートナーシップ計画が正式に発表されました。長寧区は、有名な人材派遣機関、主要な海外進出企業、外国関連の教育機関、海外大学連合、コミュニティ組織など、さまざまな主体と緊密な協力関係を築き、海外人材サービスパートナーシップ計画を打ち出し、第1陣の海外人材サービスパートナー10社を明らかにしました。海外人材サービスパートナーは、長寧のプロモーションと海外のハイレベル人材の誘致のための窓口、架け橋、リンクとしての役割を果たし、国際的な人材交流協力を深め、海外のハイレベル人材を長寧区に誘致していきます。

長寧区はまた、「随申弁」で海外人に向け、通関の利便性、住宅保障、社会保障、公証と認証、イノベーションと起業、人材定住、現地生活への溶け込みなどを含む「7つのワンストップ」サービスを正式に開始しました。海外人材のサービスの「複数も訪問」から「一度だけの訪問、あるいは訪問せずに済む」への転換を実現します。また、ハイレベル人材に向け、17の専用医療サービスを利用できる専用医療カードを発行しました。

人材サービスを最適化することは、海外人材を長寧へ惹きつけ、長寧を第一選択にしてもらい、長寧区の「国際的な友人の輪」をさらに拡大するための重要な措置です。ハイレベル人材の集積地をより良く構築し、海外人材サービスのレベルを高めるために、長寧区は上海トップ、国内一流を目指し、システム統合、国際標準、デジタルエンパワーメント、多様化イノベーション、利便性と効率を目標にして、国際向けのハブ型でベンチマークとなる海外人材サービス複合施設の構築に取り組んでいます。

それで、上海虹橋海外人材ワンストップサービスセンターが誕生しました。同センターは、海外人材の上海での就労や生活をサポートし、35の行政サービスと30の生活支援サービスを含む計65のサービス機能を統合しています。行政サービスでは、関係部門との連携、資源の統合、手続きの最適化を通じて、「海外人材総合サービスパッケージ」を革新的に導入し、海外人材に必要な行政手続きサポートやサービスを迅速に提供します。生活サービスでは、「外国人が外国人をサポート」という方法を導入し、居住地、医療、教育、金融、保険、法律相談、翻訳、交通、介護、社交活動など30の生活サービスを提供し、外国人が手続きなどで直面する困難を減らし、彼らが上海や長寧に溶け込むように支援します。

2023年、長寧区は上海虹橋海外人材ワンストップサービスセンターの機能向上計画を正式に開始しました。海外人材の視点に立ち、より便利で快適な仕事・生活環境を提供するため、「3+4+7」機能向上計画を打ち出しました。

長寧区が導入した「三証(外国人来華就労許可証、出入国就労類居留許可証、上海市海外人材居住証B証)一括申請」サービスは、外国人から高い評価を得ています。これら3つの証明書は従来、2つの部門で個別に手続きを行う必要があり、すべて取得するのに最低21営業日を要しましたが、現在では、ワンストップサービスセンターの統合窓口で「一度の訪問」で手続きを完了でき、わずか12営業日で証明書を受け取れるようになりました。

今後、長寧区は投資促進活動の統合をさらに強化し、プロジェクトの実施を加速させ、一流のビジネス環境を整え、長寧に進出する企業の拡大、向上、強化のために強固な支援を提供します。

出典:経済日報