上海市、エンボディドAI産業発展実施案を発表、エンボディドAI産業の優位性構築を加速

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このほど、「上海市エンボディドAI産業発展実施案」(以下、「実施案」という)が正式に発表され、2027年までにエンボディドAI分野における「モデル開発力の上海集積」を実現する方針です。

今年3月、「エンボディドAI」が初めて政府活動報告に明記されて以来、全国の20以上の都市が関連発展目標を掲げています。一方、ロボット産業規模が全国の約3分の1を占める上海では、エンボディドAI産業の戦略的展開がより実務的かつ体系的に進められています。

今回の上海計画の一つ目の特徴は、上海市が既に有する大規模モデル産業基盤の優位性を発揮することです。上海市はすでにMiniMax、階躍星辰など4つの基盤モデルを確立し、累計で82の大規模モデルが登録されています。この強固なモデル基盤を基に、上海市はエンボディドAI分野において、知覚意思決定モデル、運動制御モデル、エンボディドシステム技術、エンボディド言語資料技術、自主開発OSの5つの方向性に基づき、難関攻略を重点的に推進することを明確にしました。

二つ目の特徴は、公共プラットフォームの統合的整備を推進することです。計算力、デジタルツイン実証実験、パイロットテスト、投資、リースの5つのプラットフォームを統合的に整備し、整備プロジェクトに最大50%、2000万元以内の支援を提供します。これにより、上海市におけるエンボディドAI産業の発展基盤を体系的に構築し、産業の全成長段階にわたる支援体制を整えます。

三つ目の特徴は、ベンチマーク型応用モデルシーンの構築です。他の都市と比べ、多種多様なシーンが上海の独特な優位性です。例えば、智元ロボットが商業・スポーツ・文化・娯楽分野の成熟した応用シーンに参入し、国家地方共同建設人型ロボットイノベーションセンターのフルサイズ汎用人型ロボット「青龍」シリーズが上汽延鋒工場で資材搬送作業を実証し、開普勒が物流組立分野で大型受注を獲得しています。実施案によると、上海市は本物の資金支援を行い、査定済みプロジェクトに対して総投資額の最大20%、1000万元以内の支援を提供します。

特筆すべきは、上海市がエンボディドAI分野で数多くの「初」を達成していることです。例えば、世界初の百万実機データセットオープンソースプロジェクト「AgiBot World」、国内初の千台規模汎用エンボディドAIロボット量産化を実現した企業、世界初の百万規模異種ロボットデータセットなどが挙げられます。

浦東は上海市が重点的に配置するエンボディドAIロボット集積区であり、張江エリアだけでも国家地方共同建設人型ロボットイノベーションセンター、智元ロボット、傅利葉、開普勒、螞蟻霊波、緑的諧波など70社以上のエンボディドAI産業チェーン企業が集積しています。そのうち、完成品メーカーとそのサプライヤーなどの川上・川下企業が50社以上にのぼり、産業チェーンの約60%をカバーしているほか、強力な産業集積効果も生み出しています。

エンボディドAIをめぐる競争の本質は、都市のイノベーションエコシステム全体の競争です。上海市の確固たるモデル基盤、完備された公共プラットフォーム、豊富な応用シーン、持続的なイノベーション創出は、最終的には産業の先進地としての位置付けをますます明確にすると見込まれています。

「実施案」の主な内容:

一、主な目標

重大な技術難関突破の展開、典型的な応用モデルの構築、特色ある産業クラスターの構築、オープンソース優良プロジェクトの構築を通じて、2027年までに、エンボディドモデルやエンボディド言語資料などのコアアルゴリズム・技術において20項目以上のブレークスルーを達成します。4カ所以上の高品質エンボディドAIインキュベーターを整備し、100社の業界基幹企業の集積、100のイノベーション応用シーンの社会実装、100件の国際的先端製品の普及を実現することで、上海市のエンボディドAIコア産業規模を500億元以上に拡大します。

二、モデルイノベーションによる駆動

モデルによる駆動を堅持し、スマートブレイン技術の応用強化により、エンボディドAI全サプライチェーンにわたる自主的イノベーション体系の構築を加速します。知覚意思決定・運動制御・エンボディド言語資料・OS等のコア技術開発を重点的に支援し、査定済みプロジェクトに対して総投資額の最大30%、5000万元以内の支援を提供します。

三、公共プラットフォームの構築

エンボディドAI発展の共通ニーズに応えるため、全市資源を統合して計算力・実証実験・パイロットテスト・投資・リースの5つのプラットフォームを整備し、エンボディドAI産業の発展基盤を強化します。産業イノベーションサービスプラットフォーム建設プロジェクトに対して、査定済み総投資額の最大50%、2000万元以内の支援を提供します。

四、応用モデルのベンチマークの確立

上海市の業界優位性を拠り所に、物流組立、工業製造、商業小売、医療ヘルスケア、家事代行サービスなどの分野を牽引軸として、シーン募集と課題解決自主応募型プロジェクトを展開し、新しい業態におけるエンボディドAIの応用を推進します。産業のイノベーション融合を実証する応用プロジェクトに対し、査定済み総投資額の最大20%、1000万元以内の支援を提供します。

五、産業クラスターと産業チェーンの協調的発展

上海市の統一的な配置を強化し、産業クラスターと産業チェーンの集積効果を発揮させ、エンボディドAI端末製品の開発を加速させるとともに、コア部品の研究開発・生産を推進します。優良企業の育成・事業拡大に努め、イノベーション産業チェーンの構築を促進し、特色ある産業クラスターを形成し、産業チェーン全体の高品質な協調的発展を推進します。

六、一流のエコシステムの構築

オープンソース・イノベーション、標準策定、安全・倫理、人材の誘致・育成、開放的な協力に焦点を当て、エンボディドAI産業の支援体制とイノベーション発展のエコシステムをさらに整備します。

「実施案」は2025年7月28日より施行され、有効期限は2028年7月27日までとします。

※ 上記日本語翻訳は参考用です。中国語版が正式なものであり、両言語版の間に相違がある場合、中国語版が優先されます。

出典:上海市人民政府、解放日報、上観新聞