上海市市場監督管理局「市場参入登録の利便化に関する10の措置」
最近、上海はビジネス環境改善行動計画バージョン8.0を発表しました。行動計画バージョン8.0を実施し、企業の獲得感と満足度をさらに高め、企業が直面している欠点、困難、滞りに焦点を当てるために、上海市市場監督管理局は「市場参入登録の利便化に関する10の措置」を整理して策定しました。
01 「上海企業登録オンライン」サービスの対象範囲を拡大します。外国(海外地域)企業の中国国内での生産・営業活動、外国企業の常駐代表機構に対して、オンラインでの全プロセス登録サービスを提供します。
解説:
上海は外国投資家にとって最も魅力的な投資先の1つであり、多国籍企業のグローバルな産業チェーンやサプライチェーンを展開するための第一選択肢の1つでもあります。ビジネス環境をさらに最適化し、より便利で質の高いサービスを提供するために、上海市市場監督管理局は「上海企業登記オンライン」プラットフォームのサービス範囲を拡大し、外国(海外地域)企業の中国国内での生産・営業活動や、外国企業の常駐代表機構に対してオンラインでの全プロセス登録サービスを提供します。申請者は同プラットフォームを通じて、業務手続きのガイドや政策の解説を受け、必要な申請資料を準備することができます。申請者は、自宅からオンラインサービスプラットフォームを利用して、遠隔で登録申請を提出し、電子身分証証明や電子署名を行い、登録機関はオンラインで営業許可証を発行します。これにより、申請者は「最大で一度だけ訪れる」から「一度も訪れる必要がない」になります。
2 「上海企業登録オンライン」のデジスマ化アップグレードを推進し、変更・抹消登録のスマート事前記入、株主総会決議書などの申請資料のスマート作成、人員資格などの申請条件のスマート事前審査などの機能を強化します。
解説:
デジタル時代の進展に伴い、事業主体は行政サービスの利便性と効率性に対してより高い要求をしています。現在、企業設立登録手続きの全プロセスオンライン処理においては、「フォームのスマート入力、資料のスマート作成、条件のスマート事前確認」が実現されています。今後、市市場監督管理局は「上海企業登録オンライン」をデジスマ化アップグレードし、変更・抹消の手続きが複雑であることを踏まえ、事業者が提出する核心データを活用して、スマートな方法で株主総会決議書、定款、清算・抹消登録報告書など、変更・抹消登録に必要な書類を作成します。これにより、手動入力作業を減らし、ミスのリスクを低減させ、登録資料作成の効率と品質を向上させます。また、ビッグデータや人工知能技術を活用し、人員資格や登録抹消公告の発表日など、企業の変更・抹消登録の資料に関連する審査ポイントに基づいて、申請資料のスマートな事前確認を行い、誤りや欠落項目を迅速に識別し、企業にフィードバックと指導を提供します。これにより、「少ない入力、少ない提出、スマートな審査」を実現し、手続きの利便性を向上させます。
3 企業名称のスマート支援システムを最適化し、大規模モデルやビッグデータアルゴリズムを活用して、申請者の好みをスマートに分析し、精密なプロファイリングを行い、使用可能な名称をリアルタイムで推薦し、申請者が迅速に「使いたい」「使える」名称を選定できるよう支援します。
解説:
企業名称登録サービスの効率を高め、命名上の困難や問題点を軽減するために、市市場監督管理局は企業名称のスマート支援システムを開発しました。同システムは、人工知能大規模モデルやビッグデータアルゴリズムなどのテクノロジーを活用し、利用可能な名称を申請者にリアルタイムで推薦します。企業の獲得感をさらに高めるために、AI大規模モデルは申請者が入力した企業名を収集し、アルゴリズムで申請者の好みを分析し、正確なプロファイリングを行い、申請者の好みに合っていて申請者の期待に応える名称をリアルタイムで生成します。名称の可用性インテリジェント分析モデルは、基本ルール、禁止および制限された内容、類似性など複数の角度、複数のレベルから、リアルタイムで生成された名称を比較分析し、推薦される名称は申請者が「使用したい」かつ「使用できる」名称であることを保証します。例えば、ある建設会社は社名に「盛」という字を入れようとしています。AI大規模モデル分析の結果、「昌」(「繁昌」「繁栄」という意味)の字は建設会社の名称に頻繁に使用されます。アルゴリズムは「盛普盛」「昌宏盛」など、会社の好みや業界の特性に合わせた名称を優先的に推薦します。
4 住所の標準化登録情報データベース及びその応用を全市に複製・普及し、賃貸契約書標準コードにより住所情報の照会を実現し、住所使用証明書類の提出を免除します。
解説:
住所は企業の重要な登録事項であり、登録手続きを行う際には、申請者が関連規定に従い、登録機関に不動産権利書や賃貸契約書などの住所使用証明書類を提出する必要があります。しかし実際には、住所の所在や場所の区分、転貸等の具体的な状況により、住所使用証明書類の標準化が難しく、申請者が必要な書類を準備する際の手間や、登録機関の審査の負担が増加するとともに、オンラインでの手続き体験や利便性にも影響を与えています。これらの問題を解決するため、市市場監督管理局は事前に詳細な調査を行い、改革方針を策定しました。デジタル技術を活用し、住所に関する情報を集約し、情報確認を通じて住所登録に必要な書類を簡素化します。さらに、市市場監督管理局は、一部の区局において地域実情に応じた試行を行い、浦東区「浦東址引」、徐匯区「住所云」、黄浦区「企易注」、楊浦区「碼上注」、閔行区「閔址匯」等の地域実践が良好な結果を収めました。
これを受け、市市場監督管理局は全市の登記登録分野において、これらの方法を全面的に普及させることにしました。住所の標準化登録情報データベースを構築し、全市において情報化管理が可能な住所情報を集約し、住所管理者が統一された基準に基づき、賃貸契約書にデジタルコードを付与するよう指導します。経営主体が標準化された住所登録情報データベースに登録されている住所情報を利用して登録手続きを行う際には、賃貸契約書コードのみを入力すれば、登録システムが自動的に関連する住所と賃貸情報を照合し、一致が確認されると、不動産権利書や賃貸契約書等の住所使用証明書類の提出が不要となります。デジタル方式により、住居地が客観的に存在し、申請者がそれを使用する適法な権利を有していることが確認されたうえで、住所登録に必要な書類が簡素化されます。さらに、市市場監督管理局は「上海企業登録オンライン」に「登録電子地図」機能を新たに導入し、企業が住所を選定する際に、より直感的で便利な検索方法を提供する予定です。
5 電子営業許可証「上海専区」を通じて、経営主体に対して個別化され、わかりやすい政策ガイドを配信し、市場参入政策の「的確な配信」を実現します。
解説:
電子営業許可証は、市場監督管理機関が各経営主体に対して発行する主体電子証明書であり、申請するは必要なく、企業の法定代表者が携帯電話などのモバイル端末を通じてダウンロードし、他者に使用権を与えることもできます。経営主体は、電子営業許可証を使って、登録や年次報告などの手続きだけでなく、「一網通弁」や税務、人事・社会保険、積立金などのウェブサイトに登録し各種手続きをすることもできます。2023年、上海は全国で初めて電子営業許可証の地方チャンネル「上海専区」を打ち出し、電子印章、電子ファイル、電子入札、銀行口座開設、ブロードバンド契約などのサービスを統合しました。2024年に、全市での電子営業許可証の使用回数が7000万回を超え、全国首位を維持しています。電子営業許可証が政府と企業間のコミュニケーションの橋渡しおよびメディアとしての役割を十分に発揮でき、さらに多くの企業支援政策とサービスが企業の法定代表者および担当者に直接届けられるよう、市市場監督管理局は電子営業許可証「上海専区」を利用し、政策配信サービスを開始します。より正確でわかりやすい政策ガイドで企業の質の高い発展を支援します。
6 「経営主体身分碼」(「企業コード」)の表示内容を充実させ、「スキャンですぐにわかる」企業関連情報をより多く提供し、利用できるシーンを拡大します。
解説:
「企業コード」は、市場監督管理機関が市場監督総局の統一基準に基づいて経営主体に付与する「QRコード」であり、紙の営業許可証と電子営業許可証に同時に記載されます。2023年、上海は全国で初めて「企業コード」を試行し、一般市民がQRコードをスキャンすることで、登録・登記、市場監督管理許認可などの関連情報を取得できるようにしました。また、各種政務サービスシステムは「企業コード」と連携し、「コードスキャンでのフォーム入力」や「コードスキャンでの番号取得」などの機能を実現しました。経営主体情報をより効果的に運用するため、市市場監督管理局はQRコードで表示される情報内容を引き続き充実させ、従来インターネットで調べる必要があった公示情報を、より便利なQRコード方式で外部に提示し、情報の透明性を高めるとともに、より多くの利用シーンに「デジタル基盤」を提供します。
例えば、企業の営業期間や設立、登録抹消、取消し等の存続状態に関する事項は営業許可証に記載されないですが、企業が銀行から融資を受ける際などに、銀行はこれらの情報を確認する必要があります。これまでは、企業が自ら証明を提供するか、銀行スタッフが企業信用情報開示プラットフォームを通じて調査する必要があり、企業と銀行の手間が増加していました。今後は、営業許可証の「企業コード」をスキャンするだけで、関連情報を迅速に取得でき、効率を高めるとともに、情報の正確性と即時性が保証されます。また、市市場監督管理局は、各区の市場監督機関が地域の実情に応じて積極的に模索し、行政サービスや社会ガバナンスなどの分野で「企業コード」の利用シーンをさらに拡大することを推奨します。
7 実名認証、電子署名、許可証ダウンロードを簡素化し、チェーン企業の支店登録により多くの便宜を提供します。
解説:
「市場主体の登録・管理に関する条例」によると、経営主体は実名で登録しなければなりません。企業が支店登録を行う場合、その法定代表者は顔認証によって本人確認を行い、資料提出要件に従って支店登録申請書類に署名する必要があります。統計によると、全市に100以上の支店を持つチェーン企業が202社あり、そのうち7社は1000以上の支店を持っています。傘下の店舗数が多いため、チェーン企業の法定代表者は、支店登録ごとに顔認証と電子署名を行わなければなりません。チェーン店側は申請手続きが複雑すぎると指摘し、簡素化を期待しています。これに対して、市市場監督管理局は需要に基づいて「授権処理」措置を導入し、チェーン企業の法定代表者が登録連絡担当者を指定し、顔認証と関連登録文書の署名する権限を与えることができます。同時に、「一括署名」措置も導入し、オンライン登録をする際、電子署名が必要な人は、顔認証を1回行うだけで、自分の名前で登録した最大50支店の登録書類すべてに署名できます。さらに、電子営業許可証のダウンロード方法も最適化され、チェーン企業が複数の店舗の責任者を同一人物に任命した場合、その責任者は顔認証を1回行うだけで、自分の名前で登録したすべての店舗の電子営業許可証を一括ダウンロードできるようになります。
8 地域制限を突破し、「一証多址」営業場所の区域を超えた登録を推進し、より多くの経営主体を支援します。
解説:
企業の支店登録手続きを簡素化し、企業の運営管理コストを削減するため、市場監督管理部門はすでに「一証多址」(1つの許可証、複数の場所)の登録改革措置を導入しました。登録された住所以外の場所で、経営事業範囲と一致し、行政許可を必要としない経営活動を行う企業は、支店の営業許可証を取得するか、「一証多址」営業場所の登録を行うことかを自由に選択できるように支援します。実務経験のまとめに基づき、市市場監督局は政策措置を最適化し、「一証多址」経営場所の登録における地域制限を解除します。企業が市内全域で営業拠点を展開する場合、企業の登録地にある登記機関を通じ、全市における営業場所登録を一括して申請できます。簡素化された登録書類、規範化された登録プロセス、統一された管理方式により、企業の手続きや運営コストが削減されます。さらに、「一証多址」の登録情報の表示チャネルや方法も拡充・最適化され、国家企業信用情報公示システム上海地方チャンネルを通じて営業場所情報を公示するほか、新たに「企業コード」スキャンという方法を追加します。企業が営業場所登録を行った後、一般の人々は「企業コード」をスキャンすることで、関連する営業場所の登録情報を確認できるようになります。
9 人民法院との破産などの案件情報共有を強化し、抹消登録プロセスを引き続き最適化し、企業の抹消登録の利便性を向上させます。
解説:
破産手続きの円滑な実施を確保し、債権者および利害関係者の合法的な権益を効果的に保護するため、市市場監督管理局は人民法院との情報共有を強化し、企業が破産手続きに入ったかどうかを迅速に把握します。破産清算手続きが終了する前、或いは再生手続きや和解手続きが終了する前に、裁判所の同意または破産管財人の申請がない限り、企業の登記および登録手続きは行いません。破産企業の抹消登録手続きを行う際、必要な申請資料について、企業の印章が必要な場合は破産管財人の印章で代替可能であり、法定代表者の署名が必要な場合は破産管財人の責任者の署名で代替可能となり、破産管財人による企業の抹消登録手続きがさらに便利になります。同時に、営業許可証と税務登録の連動した抹消仕組みを最適化し、企業は「注銷一件事(ワンストップの抹消)」プラットフォームを通じて、税務の抹消登録と営業許可証の抹消手続きをオンラインで開始でき、別途窓口に出向く必要はなく、税務清算証明書の提出も免除されます。
10 全市ブランドサービスチーム陣を構築し、オンラインサービスの「二退必聯」体制を実施し、オンラインサービスの効率を向上させます。
解説:
近年、市市場監督局は、1つのオンラインサービスプラットフォーム(「上海企業登録オンライン」)、18の区局ブランドサービスチーム、複数のサービスステーションを通じて、オンラインとオフラインをカバーし、市、区、町を結ぶサービスネットワークを構築し、重点企業、重大プロジェクト、そして各種の難解な申請案件に対して、個別化および特色あるサービスを提供し、登録サービスのレベルを総合的に向上させています。また、オンラインサービスの効率を高め、オンラインサービス指導を強化するために、オンラインサービスの「二退必聯」という体制が実施されます。つまり、オンライン業務の中で、申請が2回目に却下された場合、スタッフは自主的に申請者に連絡し、却下の理由を詳しく説明し、的確な指導を提供して、申請資料の修正と改善を手助けます。誤解による繰り返しの却下を回避し、企業が手続きを行う際の体験度と満足度を向上させます。
※なお、本文書は、中文で作成され、日本語に翻訳されます。中文版が正本であり、日本語版は参考として作成されます。これら両言語版の間に矛盾抵触がある場合、中文版が優先します。
出典:上海市場監督管理