上海、越境貿易円滑化を促進する34の措置を開始
越境貿易の円滑化レベルをさらに向上させ、市場志向で合法的、国際的な一流の港ビジネス環境を継続的に創出するために、上海の関連部門と機関は共同で「2024年上海港越境貿易円滑化を促進するための特別行動の若干措置」(以下、「措置」)を策定し、34の施策を打ち出し、上海港越境貿易円滑化を促進するための特別行動を実施し、国際貿易分野におけるビジネス環境改革を引き続き推進します。
1. 輸出入貨物の通関効率をさらに向上
(1)港での全体的な通関時間をさらに短縮します。上海の国際貿易の「単一窓口」を利用し、上海港の全体的な通関時間監視システムを確立します。航空貨物倉庫や仕分倉庫などが作業とサービス時間を発表することを促進し、24時間365日のサービス提供を推奨します。船舶会社或いは船舶代理会社が港に到着する前に、貨物の引換証である船荷証券と荷渡し指図書の引き換えを開始することを推奨します。
(2)検疫審査承認時間をさらに短縮します。輸入食品検疫審査承認の所要時間は引き続き短縮し、要件を満たす申請プロジェクトは「申請後即時承認」の対象となり、要件を満たす動植物およびその製品の検疫審査は「申請後即時審査」の対象となります。
(3)生鮮農産物の通関効率をさらに向上させます。航空輸送による生鮮農産物の通関「グリーンチャネル」を開設し、生鮮農産物の24時間365日の定期検査を実施します。
(4)通関円滑化に関する地域協力を深化します。長江デルタ地域における通関協調処理メカニズムを最適化し、「荷卸し連動(上海と周辺地域の港及び通関が連動して入国貨物の通関を便利にする政策)」や「離港確認(離港時に国内の輸送情報を補完すること)」などの監督管理モデルを引き続き推進し、長江デルタ地域における内陸コンテナターミナル(ICT)の配置を加速します。
(5)税関技術機関の能力を強化します。港湾検査の実施とラボ検査の効率を向上させ、上海国際貿易の「単一窓口」を利用してラボ検査の状況を確認できるようにします。
(6)税関事前裁定管理を最適化します。事前裁定の申請者の範囲の拡大を試行し、中国(上海)自由貿易試験区と臨港新片区で海外輸出業者や製造業者の事前裁定申請を試行します。
2.対外貿易の新たな原動力となる産業における貿易の円滑化をさらに促進
(7)ハイテク企業の革新的な発展を支援します。真空包装などのハイテク商品の審査モデルを普及し、減免税の「ERPオンライン申告+迅速審査」モデルの適用範囲拡大を推進します。
(8)バイオ医学研究開発用品目および特殊品目の輸出入手続きを最適化します。バイオ医薬品企業(研究開発機関)向け研究開発用品目輸入「ホワイトリスト」の試行を深化し、「ホワイトリスト」の動的な調整を実施します。「ホワイトリスト」に含まれる品目を輸入する際、「輸入医薬品通関フォーム」は不要となります。輸出特別品目の共同監督管理メカニズムを改善し、上海税関は共同監督管理メカニズムの総合評価意見に基づいて、承認プロセスを最適化し、通関手続きを迅速化します。
(9)国境を越えた科学研究設備や消耗品の自由な流通を模索します。海外で販売されていますが国内で登録されていない研究開発用医療機器に対して、自主管理の強化と安全性の確保を前提に企業が輸入することを認め、税関は関係部門の意見を踏まえて通関手続きを行うこととなります。
(10)自動車研究開発及び試験用の中古主要部品輸入の試行を秩序よく推進します。自動車の研究開発・試験用中古主要部品の輸入のための「パイロットリスト」制度を確立し、パイロット企業と研究開発・試験用の輸入製品のリストを定期的に発表し、「パイロットリスト」製品の安全かつ規則に従う輸入を実現させます。
(11)越境電子商取引サポートサービス能力を向上させます。越境電子商取引の輸入税の電子納付を全面的に推進し、企業が越境電子商取引の特別監督区域で小包小売輸出の試行を支援し、越境電子商取引海運輸出リストモデルを模索し、新業態の勢いを最大限に解き放ちます。
(12)加工貿易企業間での情報共有を支援します。企業の「保税+ERP」監督管理改革への参加を推奨し、企業ERP(企業管理システム)/WMS(倉庫管理システム)と税関システムの連携を実現し、税関監督に必要な企業の生産・運営データを自動的に収集し、税関の監督を企業の生産および運営プロセスに統合します。
(13)加工貿易におけるエネルギー消費原単位改革試行を推進します。レビュー前エネルギー消費原単位申告と承認手続きを簡素化し、加工貿易企業の信用格付けに基づいてレビュー前エネルギー消費原単位申告業務を実施します。現行のエネルギー消費原単位基準監督モデルを改革し、厳格な管理要件を撤廃し、エネルギー消費原単位基準をエネルギー消費原単位パラメーターに変換し、エネルギー消費原単位のパラメーター管理を実現します。
(14)製品のカーボンフットプリント管理システムの確立を加速します。ルールの策定を加速し、業界団体、企業、科学研究機関がカーボンフットプリント計算方法を研究し、基準を策定することを推奨します。上海国際貿易の「単一窓口」を利用して「ワンクリックで物流における炭素排出量計算」機能を開始します。
(15)国際中継・混載業務の発展を支援します。輸出混載貨物の国際中継・混載倉庫への事前入庫の試行を促進し、複数の国際中継・混載業務の同じ場所での処理を段階的に実現します。
3.サービス貿易と物品貿易の融合発展をさらに支援
(16)技術貿易措置の評価と対応を強化します。外国技術貿易措置の影響に関する統計調査を推進し、関係企業との連絡担当者制度の役割を十分に発揮し、企業対応の主体性を高めます。
(17)国境を越えた貿易金融サービスを最適化します。上海国際貿易の「単一窓口」と銀行、保険、他の金融機関との協力のさらなる強化を推進し、銀行と保険機関がリスク管理モデルを改善し、審査効率を最適化することを支援します。
(18)中欧班列(中国と欧州を結ぶ貨物鉄道)の質と量の向上を引き続き推進します。中欧班列(上海号)の運営会社の海外物流ネットワークの整備、海外物流ノードの複合一貫輸送、中継、集散能力の強化及び、返送貨物ソースの拡大を推奨します。
4.港湾の情報化と知能化レベルをさらに向上
(19)関連する証明書の電子化共有とオンライン検証を促進します。「輸入貨物検査検疫証明」の電子化を推進し、地域的な包括的経済連携(RCEP)など自由貿易協定相手国との原産地情報の電子交換を実施します。
(20)遠隔監督管理の展開を模索します。現地検査や検証などの業務分野におけるモバイル遠隔監督管理の応用を検討します。検証作業の統合モードを実施し、同じ期間、同じ対象者に対する複数の検証指示を統合して実施し、工場への複数回の繰り返しの訪問を避けます。
(21)貿易書類のペーパーレス化を徹底的に推進します。輸入コンテナ貨物リリースプラットフォームの応用を促進し、船舶会社や港湾企業がより広い範囲でブロックチェーンなどの技術に基づく船荷証券と荷渡し指図書のペーパーレス引き換えを実施するのを推奨します。ブロックチェーンなどの技術を駆使して、電子船荷証券の流通とクロスチェーンコラボレーションを促進します。
(22)空港の知能化建設を促進します。空港スマート貨物ステーション、輸出入貨物検査センターなどのプロジェクトの建設を加速し、上海の国際貿易「単一窓口」航空物流公共情報プラットフォームを改善し、航空物流チェーン全体にわたる情報統合を促進します。
(23)事前に入力されたデータに基づく「一単両報」(1回の記入で2つの申告が完成)の推進を模索します。事前に入力されたデータに基づいて、近隣経済主体との「一単両報」の試行を模索します。
(24)上海国際貿易「単一窓口」機能建設を深化します。モバイル端末サービスをアップグレードし、より多く業務のオンライン対応を推進し、荷主が対外貿易業務をいつでも簡単に確認し・処理できるようにします。ビッグデータとブロックチェーンを利用して、対外貿易金融リスク管理モデルを構築し、国際貿易決済の利便化レベルを向上させます。国境検査許可報告管理モジュールを構築し、輸出入港の乗船者の管理、入港船舶の検査、訪問者の管理をサポートします。
(25)スマート港の建設を引き続き推進します。従来の埠頭設備と機器の自動化更新を促進し、スマートポート技術とシステム統合能力を向上させ、洋山四期通過型機器検査の業務量を増加させ、新しい港内知能搬送車両(AIV)のテストと適用を促進します。
5.輸出入コストの標準化と削減をさらに推進
(26)「港湾料金の整理と標準化のための行動計画」の実施を引き続き推進します。港湾料金カタログの公開制度をさらに改善し、料金カタログ以外の料金を徴収してはなりません。輸出入における料金徴収の監督と検査を強化します。
(27)国内運賃控除措置を実施します。条件を満たす中欧班列回送国内区間の運賃および関連費用は、輸入品の課税対象額から控除します。
(28)輸出入における課金をさらに標準化します。港の課金主体が上海国際貿易「単一窓口」を通じて課金基準、サービス項目など情報を発表・随時更新し、越境電子商取引などの新業態に拡大し、水運、航空輸送、陸上輸送の港をカバーし、携帯アプリで照会できるようにすることを指導します。
6.企業と国民の獲得感と満足度をさらに高め
(29)国際貿易情報ポータルサイトを整備します。統合された「国際貿易」情報ポータルサイトを構築し、国際貿易分野の関連法令を公開し、貿易に関する各種手続きガイドなどの情報を提供します。
(30)第三者の採用を深化します。資格要件を満たす検査試験機関が輸出入商品の検査に参加することを推奨し、第三者による検査・試験結果の採用範囲を拡大します。
(31)ハイレベル認定企業の育成と便利な政策の提供を増やします。企業信用の育成を強化し、より多くの誠実で法を遵守する企業がハイレベルの認定企業になるよう支援し、検査や検疫監督の頻度を削減するなどAEO企業に便利な措置を実施します。AEO業務への支持を強化し、AEO企業に金融、税務、物流などの面における利便化措置を提供します。
(32)自発的申告「政策ボーナス」をさらに生み出します。輸出入企業は、徴税、輸出税還付、関税統計、税関監督管理秩序に影響を与える情報及び、加工貿易エネルギー消費原単位が基準に従わない状況、検査検疫業務規定の違反など一部の規則違反を自発的申告し、かつ危害が軽微な場合、行政処罰は課さないことになります。行政処罰免除の条件を満たさない者には、法律に従って処罰軽減或いは軽い処罰を与えます。税関当局は、企業のコンプライアンス、法律順守と自制を利便化するために、国際貿易「単一窓口」自発的申告チャンネルを開設します。
(33)政府と企業のコミュニケーションチャネルを改善します。港湾協議会メカニズムと空港協議会メカニズムを整備し、企業に利益をもたらす政策に関する広報と研修を強化し、対外貿易および外商投資企業に対する通関サービスを確保します。
(34)貿易安全性の早期警告メカニズムを改善します。貿易摩擦の迅速な分別対応と専門的かつ正確な指導を強化し、コンプライアンス法律サービスの範囲を拡大し、貿易調整支援政策の実施条件を最適化し、公正貿易公共サービスネットワークを改善し、対外経済貿易の安全保障とリスク防止を強化します。
情報源:上海市人民政府、ウィチャット公式アカウント「上海商務」