AIが「一人会社(OPC)」の潜在力を解放——上海で「スーパー個人経済」が台頭
技術の普及に伴い、起業のハードルは大きく下がり、イノベーションの活力は産業チェーンをリードする企業や産業エコシステムだけでなく、創造力に満ちた「スーパー個体」からも生まれています。
「個人+AI=会社」という新たな起業形態は、「OPC(One Person Company)」と呼ばれ、コンセプトの段階から実際の産業へと歩みを進めています。従来の「一人会社」と異なり、OPCは「個人+AI=チーム」を強調します。起業家1人がAIを活用して、製品デザイン・研究開発・マーケティング・運営といった全プロセスを単独で完結させ、「一人でチームとなる」ことを可能にしています。
こうしたスーパー個人がリードするマイクロ組織には、エコシステムレベルでの強力なサポートが不可欠です。現在、上海は業界のリーディングカンパニーと連携し、計算資源や資金といったハード面の支援に加え、コンテスト、コミュニティ、政策支援などのソフト面のエコシステムの構築も進めています。散在するスーパー個人を集積させ、クラスターとして競争力を持つ「アリの軍団」へと育てることで、AIが牽引する新たな産業変革の中で、個人の創造力を核とした重要な競争局面を先取りする狙いがあります。
徐匯区では、優れた個人クリエイターによるOPC設立を支援しています。こうした「スーパークリエイター」は、徐家匯、西岸、北楊AIタウンなどに散在する5つのSE(スーパーアントレプレナー)コミュニティのワークスペースに入居でき、体系的な支援とサービスを受けることができます。12月18日には「AIの深い応用によるスーパー起業コミュニティ構築に関する若干の措置」が発表され、無料ワークスペース、スタートアップ資金、計算能力支援、登録サービスなど、「スーパー個人」の起業を支える包括的なエコシステムを構築することが明らかにされました。これにより、才能あるクリエイターが身軽に挑戦し、イノベーションに専念できる環境が徐匯区で整いつつあります。
徐匯北楊AIタウンの上海創智学院(写真・新民晩報)
臨港新片区(新エリア)では、個人起業家を対象に「スーパー個人(OPC)288アクション」を打ち出しました。「24時間 オフィス+宿泊 ゼロコスト」を基盤に、ハードテック、データ加工、越境ライブ配信など8つの重点業態に焦点を当てています。さらに、事業支援、融資サポート、海外進出サポートなど8項目の政策を組み合わせ、市内で最も低コストで利便性の高い若者向け起業集積地「ゼロ・キューブ(ZERO CUBE)」の形成に取り組んでいます。また、12月18日、OPC発展アクションプランが正式に発表され、OPC初のコミュニティも同時に披露されました。このアクションプランは、「リンク・コスト・チャンス・コンビニエンス・コミュニティ」の5つの核心を中心に、起業の全ライフサイクルをカバーする「C⁵エンジン」支援システムを構築しています。さらに、従来のイノベーション主体の壁を打破するため、「臨港新片区OPC⁵発展連盟」も発足させ、政府・産業界・学界・研究機関、金融・サービス・ユーザーを統合した高度なイノベーションエコシステムを構築します。これにより、OPCは「個人での戦い」から「システミックな成長」へと進化することが期待されます。
臨港青年起業集積区「ゼロ・キューブ」(写真・上観新聞)
静安区では、11月28日に開催された「2025中国報業マスコミ業界AI応用大会」において、「視聴静界・πスペース OPCイノベーションパートナープログラム」が発表されました。そして、同区の大寧機能区の「視聴静界・πスペース」では、OPC向けのイノベーションコミュニティが正式に稼働を開始しました。このプログラムは「OPCスーパー個人」を軸に、マスコミ界、学術界、技術分野のリソースを結集し、政府・マスコミ・企業・大学・研究機関・コンテンツクリエイターが共同で参加する一体型の協働エコシステムの構築を目指しています。今後、静安区はさらなる政策を打ち出し、πスペースを中国国内有数のOPCの起業・イノベーション・創作拠点へと育てていく方針です。
静安大寧機能区「視聴静界・πスペース」(写真・静安区)
「視聴静界」OPCイノベーションコミュニティ(写真・静安区)
出典:上観新聞、臨港新片区、上海静安区、澎湃新聞、解放日報、新民晩報