芸術の境界を突破――上海国際芸術祭の新たな芸術ブランド「ARTRA自定芸」第二弾
11月12日、中国上海国際芸術祭の新たな芸術ブランド「ARTRA自定芸」が西岸漩心(West Bund Orbit)で記者発表会およびARTRA2025公共プロジェクト「グローバルダイアローグ」を開催しました。
ARTRA2025は芸術プロジェクトと公共プロジェクトの2つの部分で構成され、その内容には「3+1」の構造を示しています。うち、芸術プロジェクトには「上海限定演出」となる中国およびアジア初演の3作品が含まれています。日本のメディアアーティスト・真鍋大度とELEVENPLAYが共同制作したダンスインスタレーション『+1+1+1+』、オーストラリアの前衛舞踊団・ルーシー・ギャレンとクロスメディアアーティストのマティアス・シャック=アーノルト(Matthias Schack-Arnott)が手掛けた大型インスタレーションパフォーマンス『振り子』、そして日本のビジュアルアーティスト・高谷史郎が率いるダムタイプによるテクノロジー融合型サウンド&イルミネーションの舞台『タンジェント』が上演されます。公共プロジェクトには、多くの著名なアーティストや国際芸術祭の先駆者が集まる「グローバルダイアローグ」などを展開します。
『+1+1+1+』の舞台写真(写真提供・Yoshikazu Inoue)
芸術プロジェクト『+1+1+1+』は10月25日に上海大劇院で上演されました。この斬新なダンスインスタレーション作品は、メディアアーティストの真鍋大度と前衛的なダンスカンパニーELEVENPLAYが長年にわたり取り組んできたダンス・テクノロジー・ビジュアルアートの境界領域における探求を発展させ、現実と仮想の間で流動的で多次元な舞台とビジュアルランゲージを呈しています。
「この新作では、私たちがELEVENPLAYとともに時間と構造のテーマを探り、クラシック音楽の構造と現代的表現のリズムを融合させ、音楽とダンスの境界を突破しようと試みました」と真鍋大度氏は述べ、「これは伝統と現代が交差するプロジェクトであり、デジタル技術を活用して観客に新たな感覚体験をお届けします。音楽、ダンス、テクノロジーが織りなす新たな芸術表現を通じて、私たちは知覚の境界を超える可能性を発見したいと考えています。」
芸術プロジェクト『振り子』と『タンジェント』は11月13日から11月15日にかけて、それぞれ西岸夢中心・夢工場とYOUNGシアターで同時上演されました。
『タンジェント』の舞台写真(写真提供・Yoshikazu Inoue)
『タンジェント』は、日本のメディアアーティスト・高谷史郎が30年にわたってインスタレーションアート、演劇、現代舞踊の分野で積み重ねてきたクロスオーバーな芸術探求を集約し、現代舞台芸術の新たな表現形式を切り拓くことを目的としています。本作は現実と超現実の間にある知覚の境界を深く探求し、精密な光と影のデザインとサウンドスケープの構築を通じて、独特の知覚的フィールド領域を創出し、「可視性」と「不可視性」の認知の境界を再定義し、観客を日常を超えた芸術世界へと導きます。
特筆すべきは、この作品で使用されている音楽は坂本龍一の最後のアルバム『12』から選ばれている点です。
今年の公共プロジェクト「グローバルダイアローグ」は「視覚、パフォーマンス、フェスティバル」をテーマに、アーティストの高谷史郎、ルーシー・ギャレン、マンチェスター国際フェスティバルの劉祺豊クリエイティブディレクター、そしてフランスの著名なキュレーターのリチャード・カステリ氏(Richard Castelli)をゲストに、芸術祭と革新性、開放性、融合性に関する深い対話を展開します。
第24回中国上海国際芸術祭の公演および展示プロジェクトとの緊密な連携に加え、「ARTRA自定芸」は2025上海国際アートワークトレードウィーク、「秋の約束:上海美術シーズン」など、数多くの文化ブランドイベントと連携し、11月の「上海時間・グローバルアートシーン」に「アート+舞台芸術」が融合した新たな次元を加えます。
出典:澎湃新聞