複数のトップクラスの多国籍企業が「上海への約束は色褪せない」と表明

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上海市市長国際企業家諮問会議(写真・上観新聞)

スイスの製薬大手ロシュは中国市場に20億4000万元の投資を追加し、上海の張江地区にバイオ医薬品の生産拠点を新設すると発表しました。これは単一事例ではありません。記者がこのほど上海市市長国際企業家諮問会議(市諮問会)の複数のメンバー企業を取材したところ、これらのトップクラスの多国籍企業が中国での事業展開をさらに拡大し、中国市場に引き続き深く根を下ろすとの方針を明らかにしました。

36年前の1989年10月、市諮問会の発足式が上海で開催されました。当初、複数名の外国企業家が国内外のプレッシャーを乗り越え、企業家と上海市長の年次対話という慣例の幕を開けました。時間が経つにつれて、現在、市諮問会メンバー企業44社のうち、20社が2024年フォーチュン・グローバル500にランクインしています。これらの企業の時価総額は3兆2000億米ドルを超え、上海での年間納税総額は約350億元に達しています。

市諮問会顧問でアーンスト・アンド・ヤングアジア太平洋地域人事部門主管パートナーの黄文氏は、「企業家たちが長期主義を堅持し、長期的利益を重視する姿勢と、上海が一貫して実績で語り続ける姿勢が相まって、多国籍企業に確かな信頼感を醸成しています。国際情勢がいかに変化しても、市諮問会メンバー企業の上海への熱愛は不変で、上海への約束も色褪せない」と述べました。

時間をかけて上海を「体験」

黄文氏によると、1981年に中国大陸に進出し、1998年に上海に支社を設立した企業として、アーンスト・アンド・ヤングは時間をかけて上海を「体験」してきました。また、同氏は南京西路の周辺を例に挙げ、「かつては上海商城だけだったが、今では高層ビルが幾重にも連なる景観が広がっている」と話しました。2010年、中国での業務拡大と従業員増加に伴い、同社は上海陸家嘴環球金融中心に移転し、現在では5000人以上の従業員が9つのフロアに分散配置されています。

時間が「物語る」事例として、市諮問会メンバー企業であるシンガポールのDBS銀行も挙げられます。今年は同社の上海支店設立30周年を迎える記念の年です。上海自由貿易区に最初に進出した外資系銀行の一つとして、同社は初の上海自由貿易区地方政府債を引き受けたほか、人民元クロスボーダー決済システムの第一陣参加機関でもあります。

今年も市諮問会メンバー企業であるベーリンガーインゲルハイムが中国市場進出30周年を迎える節目です。南京西路の越洋広場には、このドイツ製薬企業の大中華地区本部とデジタルイノベーション実験室が位置しています。該当実験室はドイツ本国以外で唯一の研究施設として、上海のイノベーションネットワーク・人材資源・完備された産業チェーンを利用し、デジタル分野における診断補助技術の開発に取り組んでいます。

上海を世界に紹介する責任

今年のダボス会議の「上海ナイト」レセプションに参加した黄文氏は、「市諮問会メンバー企業には強い責任感を持っており、上海での発展の実感を共有し、『上海も、中国も有望』という明確なメッセージを世界に発信しなければならない」と述べました。企業家たちは分単位のスケジュールをやりくりする中でも、15社の市諮問会メンバー企業が出席し、そのうち8社が企業の最高経営責任者です。

このような事例はまだたくさんあります。今年3月、中国発展ハイレベルフォーラム2025年次総会が開催され、BNPパリバ、ダノングループ、ジョンソンコントロールズ、野村證券、シーメンス、スワイヤー・グループ、ZFグループなど19社の市諮問会メンバー企業が参加しました。

さらに重要なのは、多国籍企業の経営者たちが自らの実体験に基づき、世界に向けて上海の魅力を発信している点です。ある市諮問会主席は複数の国際舞台で中国の開放モデルについて、「最初にすべての扉を一斉に開け、問題発生箇所の扉を逐次閉じる手法を採る国があるが、中国は一つの扉ごとに順序立てて開放を進め、次第に開放領域を拡大し、最終的に全面的な開放の実現を達成している。異なるモデルにはそれぞれの長所がある」と解説しています。

取材の中で、市諮問会メンバー企業の複数の経営幹部が、今年は自社のグローバル最高責任者が上海での会議に参加することを明確に伝えました。

調整・協力・ウィンウィンのプロセス

上海への投資を追加したのは、ロシュだけではありません。統計によると、昨年の市諮問会が開催されてから、13社のメンバー企業が上海への新規投資を計画しており、その総額は約300億元に達すると見込まれています。

ベーリンガーインゲルハイムの殷寮涵副社長によると、「過去5年間で中国における研究開発投資額は累計33億元を超え、今後5年間ではさらに50億元まで引き上げる予定だ」ということです。また、同社は2030年までに人用医薬品分野で25件以上の登録承認を見込み、中国の患者が世界のバイオ医薬品のイノベーション成果を「ゼロ時差」で享受できるよう支援していく方針です。このほか、2030年には上海工場から約100品目の製品が輸出される見込みで、生産額は約80億元に達すると予測されています。彼女の言葉を借りれば、上海はすでに同社のグローバルサプライチェーンの中核拠点となっており、「上海製造」は中国市場だけでなく、アジア太平洋ひいてはグローバル市場にも向けています。

現在、市諮問会メンバー企業が上海企業の「海外進出」を積極的に支援しています。星展銀行(中国)有限公司の鄭思禎頭取は、インドネシアを主要市場とする現地の越境EC企業を例に挙げました。昨年、インドネシアルピア対人民元の変動率は6%を超えたため、該当企業が為替変動リスクに直面しているほか、決済時に米ドルを経由する必要があるため、手数料の高さと入金遅延の問題にも直面しています。

星展銀行(DBS銀行)は「人民元ーインドネシアルピア特別認可クロスカレンシー・マーケットメーカー」の資質を保有し、企業向けにインドネシアルピアと人民元の直接両替ルートを開通しています。これにより、為替コストの削減と入金速度の向上を実現できました。資金ルートを整備した後、該当企業がインドネシアでの市場シェアはさらに拡大しました。

「上海が国際企業のさらなる発展を支援し、国際企業が上海の都市レベルの向上を推進している。これこそが上海と市諮問会プラットフォームの調整、協力、ウィンウィンを実現したプロセスだ」と黄文氏は記者に対して説明しました。これもまた上海が市諮問会を設立した本来の目的そのものです。すなわち、外部環境がいかに変化しようとも、上海はこのグローバルな知恵を結集するプラットフォームを活用し、開放を堅持することで未来を切り開いていきます。

出典:上観新聞、解放日報