高まる上海のインバウンド観光の魅力——今年上半期のインバウンド客は延べ415万人を突破
上海市文化観光局の最新データによると、2025年上半期における上海へのインバウンド客数は延べ415万8000人に達し、2024年同期比で延べ113万人増加、前年比37.73%増となりました。そのうち、宿泊を伴う観光客数は前年比47.09%増の延べ382.7万人でした。いずれの数値も2024年の同期を大幅に上回っており、上海のインバウンド市場が依然として強い魅力を有していることを示しています。

7月22日、上海市南京路歩行者天国で記念写真を撮影している外国人観光客(撮影・李宝花/解放日報)
ビザ免除政策が近隣国からのインバウンドを牽引
昨年末のビザ免除政策実施以降、週末を利用して上海を訪れる韓国人観光客の急増が話題を呼びました。そして、今年上半期のデータからも、その状況は続いていることがわかります。今年6月末までの韓国からのインバウンド者数は延べ42万3000人に達し、前年同期比130.70%増となり、上海へのインバウンド観光市場で最大の送り出し国となっています。この数字は、昨年の年間韓国人観光客数(44万6000人)に迫る勢いです。日本(約29万人)とタイ(約25万人)がこれに続き、第2位と第3位となっています。
アジアの近隣諸国から訪問者が増加している一方で、240時間トランジットビザ免除や30日間の入国ビザ免除といった政策の恩恵を受ける遠距離の旅行客からの関心も高まっています。今年上半期の上海へのインバウンド客数の増加率上位10国には、ロシア、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドが名を連ねています。累計訪問者数では、アメリカ、ロシア、オーストラリア、ドイツからいずれも10万人を超える観光客が上海を訪れました。
春秋旅行社の周衛紅副総経理は、上半期のインバウンド観光客の大幅な増加はビザ免除政策の直接的な成果であり、国際線の回復や、上海の観光プロモーションの的確さも後押ししていると分析しました。特に「韓国・日本・タイの旅行客が上海での滞在を好む一因として、これらの国の地方都市からの国際線の就航があります。これらの地方の若者たちが上海へ惹きつけられているのです」と述べています。
若年層が牽引するインバウンド消費構造の再構築
ビザ取得のハードルが下がると、「Z世代」を含む若年層の観光客が一気に増加しています。上海の多彩なショッピングやレジャー環境が、彼らの多様なニーズに応えています。
大手旅行会社によれば、海外の若い観光客が好む上海の高級ホテルとして、ブルガリホテル、カペラ上海ジェン・イエ・リ、ザ・ミドルハウス上海、ペニンシュラ、ウォルドーフ・アストリア、静安シャングリラ、ザ・リッツ・カールトン浦東などが挙げられます。これらのホテルの宿泊料金は、安くて1泊1000~2000元、高い場合は5000~6000元と幅広く、消費を喚起する効果が顕著です。
上海の多様な消費環境は、海外観光客に「没入型体験」をもたらしています。調査によると、ビザ免除政策実施後のインバウンド客のうち、若年層の割合は増加傾向にあり、2025年1月から5月にかけては、1990年代・2000年代生まれのインバウンド客の比率が40%を超えました。若い観光客に人気を博しているのは、上海ディズニーランド、外灘、豫園といった定番スポットに加え、シティウォーク(街歩き)、小さなカフェ、ポップマートといった二次元系のポップカルチャーショップなどです。
また、世界的に競争力のある物価水準も中国・上海の魅力を高める大きな要因です。2025年上半期の上海の5つ星ホテルの平均宿泊料金は947.79元、4つ星ホテルは501.27元であり、コスパの高さが際立っています。
「ただ訪れる」から「個性重視の体験」へ
近年、上海は交通の利便性の向上、決済手段の国際対応、多言語サービスの拡充などを通じて、インバウンド観光客の体験向上を図っており、着実に成果をあげています。しかし、依然としてインバウンド観光客が直面する問題もまだ多くあります。
例えば、「上海のお勧めの観光スポットやレストランは?」「タクシーはどう呼ぶの?ディディ(DiDi)の使い方は?」「地元の人に人気の飲食店や過ごし方は?」といった質問は、インバウンド観光客から寄せられる典型的なものです。上海市青少年研究センターのレポートによると、若い海外観光客はもはや通りいっぺんを見るだけの旅行に満足せず、国際コミュニティへの訪問、伝統手工芸の体験、中国のトレンドのブランド巡りなど、現地の生活に溶け込み、都市文化を深く味わうといった体験を求めています。
このような新たなトレンドにより、インバウンド観光サービスの提供側にも高い要求が求められています。従来の標準的なものから、より「カスタマイズ」「パーソナライズ」「社交性」を高める体験への転換が迫られています。そのため、7月中旬には、上海市の文化観光の国際発信の新スタイルとして「6つの一」プロジェクトが発表されました。その内容は、(1)「一つ」の新しいプロモーションスローガン「ここが上海/This is Shanghai」、(2)「一曲」の都市観光テーマソング「都市の心の鼓動」、(3)「一連」の観光テーマ商品、(4)「一組」の都市文化観光シーン、(5)「一冊」の文化観光パスポート「魔都上海ルートガイド」、(6)「一群」の都市推薦官(シティプロモーター)です。「6つの一」により、国内外の観光客にとってより直観的で生き生きしたデジタル都市探索ルートが提供されます。
今後、上海市は「This is Shanghai」グローバルプロモーション計画を一層推進し、文化観光推薦官、観光パスポート制度、没入型ルート設計などの政策の革新とサービス向上を通じて、上海市を「参加でき、共有できる」世界的な旅行先へと進化させることで、「中国インバウンド観光の玄関口」としての上海ブランドを強化していきます。
出典:上観新聞、解放日報