上海、地域の実情に応じた近代型の青果市場を整備
近年、上海では「近代型の青果市場」の整備が進められています。空間を再構築し、サービス機能を向上させることで、小さな青果市場を「品質・手頃さ・人情味」を兼ね備えた生活の拠点へと変貌させています。そこには都市文明の一端が垣間見えるだけでなく、人々の日常に寄り添う生活の息づかいが、「いいなあ」と感じさせる魅力を放っています。
「書房集市」の青果市場では、店先に来店者が引きも切らない。(写真提供・上観新聞)
施設のアップグレードとサービスのモデル転換
浦東新区にある「書房集市」青果市場は、今年7月に改修工事を終え、今までの「通路が狭く、床が滑りやすい」という印象を一新しました。店舗は見通しがよく、環境は清潔で、エリア区分もわかりやすい、まさに「全年齢層にやさしい」現代的な青果市場へと生まれ変わりました。
市場のハード面の整備は運営の考え方も変えました。従来の店舗管理から利用者サービス中心へと変わっています。調査によると、青果市場周囲2キロ圏内の若年層割合は43%に達しています。彼らの「仕事帰りに買い物が間に合わない」「料理ができない」という悩みに応える形で、料理代行サービスが誕生しました。
7月の営業開始以来、青果市場に併設された食堂は1日平均200人以上が利用しています。手頃な価格と、「市場から直に仕入れ、その場で食べられる」という便利さが、仕事帰りの若者たちを引きつけています。同じ空間でも、青果市場はもはや食材を買うだけの場所ではなく、温かい食事を安心して楽しめる日常の拠点へとなっています。
統一的な運営による経営エコシステムの拡張
従来型の青果市場が直面する「商店の世代交代が進まない」という課題に対し、一部の市場は生鮮スーパーへと転換し、「統一運営エリア+一部既存店の継続」という新たな仕組みを採用しています。また、早急な再生が必要な市場には、国有企業が支援に入り、専門の運営会社を導入して、複合的な業態やオンライン販売との連携などによって活性化を図っています。
新たな運営モデルでは、従来の固定した賃代料の代わりに、統一レジシステムを導入して、売上に応じた歩合制度となり、売れば売るほど収入が増える仕組みを取り入れました。管理側もより「パートナー」に近い存在となり、市場全体の統一的に運営することでブランド効果を高め、店舗とともに市場を育てていく形になっています。
また、「抖音団購(グループ購入)」や「タオバオ閃購(電撃購入)」などのプラットフォームに出店し、現在、オンライン注文は市場全体の売上の15%を占め、その割合は上昇を続けています。これにより、青果市場の境界は広がりつつあり、店舗の力を結集し、時代に適応した健全な運営エコシステムが静かに形成されつつあります。
地域の特徴に応じてコミュニティに溶け込む
床屋、朝食店、薬局などの生活サービスも青果市場と有機的に結びつき、ここはまさに「ワンストップ」の地域の生活拠点となっています。統計によれば、浦東新区には現在196の青果市場があり、多くが同様の改修をしています。若年層が多い地域では、料理代行サービスや簡易な外食機能を強化し、高齢者が多い地域では、手頃な価格の野菜や従来からのサービスを充実させ、ファミリー層が中心の地域では、子どもが喜ぶ施設や半加工食品の提供を充実させています。
地域の実情に合わせた改修は、青果市場に新たな活力をもたらすだけでなく、時を経て育まれてきた昔ながらの味わいも守り続けています。浦東新区文明弁公室の関係者が述べたように、「青果市場の整備は、環境を改善して管理を規範化する一方で、日常生活のにぎわいや温かみをより豊かにすることが大切です。空間の姿、業態の姿、人々の姿が、そのまま都市文明の生きた尺度となる」のです。
出典:文匯報、上観新聞