上海明復図書館:百年の歴史を持つ都市の宝
連日の猛暑で、ちょっとマイナーな図書館が注目されるようになりました。陝西南路の喧騒に囲まれた西洋風の古い建物が、SNSで若者たちの間で「お宝級の図書館」となっています。
この3階建ての白い建物は、黄浦区にある百年近くの歴史を持つ明復図書館です。明復図書館の本館である明復楼は1931年に竣工し、中国初の近代設計による専門図書館であり、中国初の公共科学技術図書館でもあります。建物の外装は西洋モダニズムスタイルで、白漆喰を基調とし、扉枠には伝統的な「本を載せる蓮の葉」の文様が施され、東西文化を見事に融合しました。

黄浦区明復図書館の様子(写真提供・上観新聞、以下同様)
現在の明復図書館の敷地面積は約4200平方メートルで、蔵書数は60万冊を超え、国家一級図書館に認定されています。一階には新聞雑誌閲覧室、図書貸出室、24時間セルフ貸出返却室を設け、二階は総合図書閲覧室、三階には展示ホール、古籍閲覧室、旧跡展示室があり、異なる読者の多様なニーズに対応しています。

図書館一階左側には新聞閲覧室があります。ここで読者は百種類以上の新聞雑誌を閲覧できます。その隣には24時間セルフ貸出返却室と文学貸出室があります。テラゾーの階段を上がると、二階の総合閲覧室に入ります。それは館内最大の閲覧空間で、大きなガラス窓辺で市民たちが静かに読書や仕事に集中しています。

明復図書館の名は、中国科学社の主要創設者胡明復氏に由来しました。彼はハーバード大学から卒業した初の中国人博士であり、中国数学界最初の博士でもあります。1927年、36歳の胡明復氏は水難事故で逝去しました。その功績を讃え、蔡元培らが中国科学社新設図書館を「明復図書館」と命名することを提案しました。今でも庭園には彼の胸像が立っています。

中国科学社は1914年、コーネル大学の9名の中国留学生が「科学振興、産業促進、術語統一、知識普及」を目的に創設された組織です。1918年に中国に移転し、1928年に上海に拠点を構え、明復図書館の建設を開始しました。
1956年、図書館は、中国科学社によって国に寄贈され、その後幾度の名称変更を経て、2011年に正式に黄浦区明復図書館と命名されました。

1931年に中国科学社の研究拠点として誕生し、1959年には盧湾区図書館となり、新世紀に黄浦区明復図書館へと変遷を重ねてきたこの建物は、知識伝播の使命を果たしてきました。この建物には、時は流れず、別の形で触れられる記憶に残され、訪問者を静かに待っています。
出典:上観新聞