上海博物館と東京国立博物館による共催 宋・元・明時代の漆器珍品展

japanese.shanghai.gov.cn| 2025-09-28

中国は世界で最も早く漆器を使用した国の一つであり、長い歴史を持つ漆器の工芸と文化は隣国である日本にも伝わり、影響を与えてきました。日本では現在も、中国国内で珍しい宋・元時代の中国漆器の名品が数多く所蔵されています。

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展覧会場(写真提供・澎湃新聞)

9月26日、上海博物館と東京国立博物館が共同で開催した「紅翠斗芳菲:宋・元・明漆器珍品展」が上海博物館人民広場館で公開されました。総数127点の作品が展示され、東京国立博物館、根津美術館、出光美術館、九州国立博物館など、日本を代表する収蔵機関が所蔵する中国漆器の優品に加え、中国国内の博物館が所蔵する宋・元時代の漆器の優品も集結し、中国漆器の芸術的成果を体系的に紹介しています。日本の収蔵機関からの展示品は112点で、そのうち、約半数は珍しい宋・元時代の漆器名品であり、本展の見どころとなっています。

本展は漆器の技法別に、「素影清暉」、「重芳畳綺」、「金鏤華章」、「煥彩凝萃」、「塵封古韻」、「帰去来兮」の6つのセクションに分けられています。その中で、日本からの展示品の多くが明確な由来を持つ名作です。例えば、『御道具帳』に記載されている南宋時代の「剔紅鳳凰牡丹紋長方盒」、南宋時代の「剔紅双龍花卉紋長方盤」、元時代の「黒漆螺鈿海水龍紋菱花形盤」、「戧金雲鳳紋経函」など、いずれも日本の「重要文化財」に指定され、中国漆器史上においても代表的な作品です。同展には、400周年を迎える漆工専門書『髹飾録』の二種の写本も展示されています。その原書は中国ではすでに失われており、中国漆工の歴史を研究する上で重要な著作です。

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展覧会場 元代 黒漆螺鈿人物菱花形盒 日本出光美術館所蔵(写真提供・澎湃新聞)

上海博物館の孫峰研究員によると、展示品の中で日本出光美術館所蔵の「元代黒漆螺鈿人物菱花形盒」は日本の重要文化財であり、その大きさ、優美な造形、精緻な文様から、中国漆器の螺鈿工芸の最高水準を代表する作品と見なすことができます。本作品は今回の展覧会でわずか2週間のみ展示され、なかなか見られない非常に貴重な展示品です。

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展覧会場(写真提供・澎湃新聞)

展覧会開幕式に参加するため、日本からわざわざ中国を訪れた東京国立博物館の藤原誠館長は、「今回が2度目の上海訪問だ。前回は蘇州博物館訪問の際の乗り換えで立ち寄っただけだったが、今回は空港から直接上海博物館の会場に向かい、短い時間だが、非常に繁栄した街並みの印象を受けた」と語りました。藤原誠氏は「中国の漆器は日本に大きな影響を与えている。日本は古来より中国文化を深く尊び、吸収するとともに、自らの文化と美意識を育んできた」と述べました。

展覧会に展示されている日本の博物館・美術館・寺院など所蔵の中国漆器には、現在の中国ではほぼ見られない、世界的にも稀な宋・元時代の作品が含まれています。藤原館長は、「今回の展覧会を通じて、中国の観客の皆様に自国で生まれた素晴らしい文化財を知り、中国の伝統芸術をより理解してもらえることを期待している。これも本展を共催した当初の願いだ」と語りました。

上海博物館の褚曉波館長は、「海を渡り、日本で静かに数百年の時を刻んできたこれらの名品が故郷に戻り、もたらすものは単なる芸術の饗宴ではなく、文明の血脉が織りなす深い情感に満ちた再会だ」と述べました。

関係者によると、今回の展覧会は、上海博物館と東京国立博物館の両館が、2006年の「中日書法珍品展」、2010年の「千年丹青―日本・中国所蔵唐宋元絵画精品展」に続いて再び共同で開催する展覧会です。

同展は無料で一般公開され、2025年11月23日まで開催される予定です。

出典:澎湃新聞