国際金融センター
上海は中国現代金融業のゆりかごです。(写真・ CFP)
上海の金融市場は力強い成長を遂げており、国際金融センターとしての地位を強固なものにしています。上海は国際金融基準との合致、実体経済へのサービス提供能力の強化、金融イノベーションの導入において目覚ましい進歩を遂げてきました。
金融インフラ
上海の金融市場とインフラは大幅に改善されました。上海コマーシャル・. ペーパー(CP)取引所、上海保険取引所、中国信託登録株式会社、越境銀行間決済システム、都市商業銀行清算などの新しい機関が設立されました。
上海は金、銀、石油、銅、ゴムなどグローバル商品の価格設定においてますます影響力が強まっています。中国外貨取引センター(CFETS)の人民元指数は、人民元為替レートの重要なベンチマークとなっています。
上海金融市場において、国内初の海運指数先物、国際銅先物、原油先物、原油オプション、30年国債先物など、国際標準に準拠した先物やデリバティブが増えており、多様な商品が提供されています。
金融イノベーション
上海は引き続き、金融改革とイノベーションを深化させ、実体経済をしっかりと支えています。
科学技術イノベーションのための金融改革試験区が設立され、テクノロジー企業に全ライフサイクルの包括的な金融サービスを提供しています。
上海証券取引所のハイテク新興企業向けの株式市場「科創板」(スターマーケットと略称)は大幅な改善が行われ、テクノロジー企業の好ましい IPO 上場先となっています。
スターマーケットは率先して登録ベースの上場メカニズムを採用し、現在中国のすべての市場で採用されています。
国際的なグリーン金融センターの構築に取り組んでいます。グリーンファイナンスサービスプラットフォームを作り、第1陣として11プロジェクトを選び、総額35億8000万元のプロジェクトの融資活動を促進しました。
上海は「上海市モデル転換金融カタログ(トライアル版)」(Shanghai Transition Finance Catalog (Trial))及びその「使用ガイドライン」を作成し、公表しました。このほど、上海浦東開発銀行や交通銀行上海支店などの銀行は、カタログに掲載されている業界のグリーンへのモデル転換を支援するため、第1弾の融資を実行しました。
上海は引き続きグローバルフィンテックセンターの設立を促進し、実体経済の発展を促進するために改善された金融商品、ビジネス、サービスを提供します。
金融開放
国内外の交流と協力が継続的に拡大する中、上海の金融開放の玄関口としての重要な役割はますます顕著になっています。
中国(上海)自由貿易試験区とその臨港新片区は、金融開放とイノベーションのテストプロジェクトにおいて目覚ましい進展を遂げました。中国(上海)自由貿易試験区とその臨港新片区は自由貿易口座制度を確立し、国境を越えた貿易と投資に関連する外国為替管理のテスト改革を開始しました。
2023年、上海の人民元越境決済額は20兆元を超え、全国総額の40%以上を占め、中国トップレベルを維持しています。
近年、上海に拠点を置く国内外の金融機関が増加の一途をたどっています。中国で新たに設立された6社の外資100%出資のファンド管理会社はすべて上海にあります。それに加えて、中国の大手銀行5行の参加により設立された外資系合弁資産管理会社もすべて上海に拠点を置いています。さらに、新しく設立された外資系証券会社の半数以上が上海に拠点を置いています。
2023年末まで、上海には適格海外投資事業有限責任組合(QFLP)パイロット企業が90社、適格国内有限責任組合(QDLP)パイロット企業が63社あります。市内には 1771 の認可された金融機関があり、そのうち外資系金融機関が 548 あり、全体の 30%以上を占めています。
2023年、上海金融市場の総取引高は3373兆6000億元と過去最高を更新し、世界第1位となりました。
ビジネス環境
上海は金融業界のビジネス環境を持続的に強化し、金融センターとしての影響力を高めています。
「上海市金融監督管理条例」や関連規定、行政罰手続きなどの規制を制定することで、業界リスクを監督・管理する能力を強化しています。
地方の金融監督管理情報プラットフォームを作り、主要な金融リスク事例を効果的に処理するため、金融安定調整連席会議システムを整えました。
また、「浦東新区グリーンファイナンス発展に関する若干規定」および「浦東新区金融リースの発展促進に関する若干規定」を実施し、上海市は健全な金融法律枠組みの発展を進めています。上海金融裁判所と上海金融仲裁裁判所の影響力は拡大し続けています。
上海の金融ブランドの認知度は世界的に拡大しています。上海金融イノベーション賞は市内の多くの革新的な金融プロジェクトを表彰し、陸家嘴フォーラムは国内外の金融対話の重要なプラットフォームとなっています。
世界クラスの金融人材を誘致する取り組みは加速しており、上海には50万人近くの金融関係従業者がいます。
歴史と目標
中国の現代金融産業の発祥地として知られる上海は、1992 年以来、国家戦略の一環として国際金融センターになるという目標を追求してきました。
2020年までには、中国の経済力と人民元の世界的地位に見合った国際金融センターへと変貌しました。
ここ数年、上海の金融センターとしての地位を固めるための取り組みは、国の経済と社会発展、金融改革と開放を大きく支えてきました。上海市金融業界の国際化が着実に進んでいます。
「上海国際金融センター構築のための14次5ヵ年計画」(2021-2025年)に示されているように、上海は2025年までに国際金融センターとしての地位を大幅に向上させることを目指しています。金融セクターは、国民経済の質の高い発展を支援する上で重要な役割を果たしています。さらに、人民元建ての金融資産配分とリスク管理の中心地である上海はその地位を一層固め、グローバルな資源配置能力を大幅に強化していきます。
これらの取り組みは、上海が2035年までに国際金融センターとして世界的に大きな影響力を発揮するための強固な基盤を築きます。
更新日:2024年4月12日
情報源:上海市金融監督管理局、上海概覧2024