インバウンド観光が活況 業界レポートが明かす最新トレンド

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中国のSNSプラットフォーム「小紅書(RED)」がこのほど発表した「2026年訪中外国人観光トレンドレポート」によると、過去1年間で、外国人ユーザーによる中国観光関連の投稿数は前年同期比で5倍増加し、その足跡は約500都市に広がりました。

同レポートで発表された「訪中外国人観光客に人気の都市トップ10」は、上海、北京、広州、香港、深圳、重慶、成都、杭州、昆明、哈爾浜(ハルビン)でした。一方で、注目すべき「人気急上昇都市トップ5」には、鄭州、太原、貴陽、福州、義烏がランクインしました。これにより、外国人観光客にとって人気な旅行先が主要な一線都市から、独自の特色を持つ地方都市へと広がりつつあることがうかがえます。

「名所巡り」から「没入型体験」へ

レポートによれば、現在、訪中外国人観光客は、従来の「名所巡り」のスタイルから脱却し、中国の多様な魅力を深く体験するという新たな段階へと移行しています。かつては、訪中外国人観光客の旅行先といえば、北京・上海・広州・深圳といった主要都市や、桂林のような有名景勝地が主流でしたが、現在ではその範囲が中国の二・三線都市、さらには県城(県政府所在地)や農村部にまで及んでいます。

その中、上海は依然として、外国人観光客の訪中目的地検索ランキングで首位を維持しています。しかし、多くの旅行者にとって、上海の魅力はもはや国際都市としての華やかな景観だけにとどまりません。上海ならではの「中国体験」を深く味わえることも、いまや大きな魅力となっています。

生地市場でのチャイナドレスやスーツのオーダーメイドサービスでは、「到着後に採寸し、出国時に受け取り可能」という効率的な体験が実現されています。また、没入型スタンドアップコメディーは、笑いを架け橋に中国文化と海外文化を繋げています。さらに、英語で上海の魅力を発信する地元インフルエンザーは、まだ中国語が話せない外国人旅行者にとって、信頼できるガイドの役割を果たしています。

こうした、伝統工芸、現代的都市文化、そして異文化コミュニケーションを融合させた体験型コンテンツは、まさに世界的にも進んでいる「名所巡り」から「没入型体験」への旅行消費トレンドと合致しています。

「パズル型観光」の台頭

今回のレポートでは、各国の観光客が中国でそれぞれ自分にぴったりの理想的な目的地を見つけていることが示されました。特に、「デュープ(Dupe)旅行」(人気観光地の代替となる、安くて似た雰囲気の場所を楽しむプチプラ旅行トレンド) が今中国観光の新たなトレンドとなっています。

例えば、「韓国気分を味わえる延吉」「タイを思わせる西双版納(シーサンパンナ)」「モスクワの雰囲気を感じられるハルビン」など、これらの都市は外国人観光客から注目を集めています。その背景には、中国の利便性の高い交通ネットワーク、安定した治安、そしてコストパフォーマンスの高い消費環境に対する総合的な信頼があります。全国に張り巡らされた高速鉄道網により、数千キロの移動も数時間で可能となり、安全な都市環境も外国人旅行者から高く評価されており、「深夜に中国の街を一人で歩く体験」が海外SNSで盛んに語られています。こうしたポジティブな口コミは、中国を新たな旅行先の候補として選ぶ外国人観光客の増加につながっています。

消費スタイルも多様化・高度化

訪中外国人観光客の旅行先が多様化している中、その「買い物リスト」も進化を見せています。従来のシルクや茶葉に加え、アートトイのブラインドボックスや中国コスメ、ドローンなどの「新中式(伝統とモダンが溶け合う“今の中国スタイル”)土産」が外国人観光客の間で人気が広がっています。また、「購入商品を先に配送する」サービスや、「到着後に採寸し、出国時に受け取れる」オーダーメイドサービスは、中国の効率的なサプライチェーンの強みを示すとともに、それ自体がユニークな旅行体験として注目されています。製造業の競争力を観光の魅力へと転換するこうした取り組みは、中国の観光産業のブランド価値向上に向けた新たな可能性を示しています。

中国国家統計局のデータによると、2025年の全国におけるインバウンド外国人観光客数は延べ3517万人に達し、2024年と比べて30.5%増加しました。インバウンド観光のブームが高まりつつある背景には、明確な政策面での支援があります。2023年以降、中国は多くの国に対して「一方的なビザ免除」および「相互ビザ免除」措置を実施しており、現在、その対象国・地域は40以上に達し、インバウンド外国人観光客数は過去最高を更新し続けています。

同時に、中国文化・観光部や商務部など複数の部門も連携し、インバウンド観光をサービス業の対外開放拡大や消費拡大を促進する重要施策として位置づけています。こうした政策面の緩和措置に加え、SNSによる拡散効果も相まって、中国の旅行先としての国際的認知度は急速に高まっています。

出典:観察者網、人民網