流浪する命の避難所——上海初の「猫島」を訪ねて
上海市宝山区にある顧村鎮の深い緑に包まれた一角に、廃園となった幼稚園を改修してつくられた都市型の「猫島」があります。現在、この「猫島」では400匹を超える猫が保護されています。
上海宝山の「猫島」(写真・WeChat公式アカウント「上海宝山」、以下同様)
猫島は、上海で初めての都市型野良猫コミュニティガバナンスに関する科学普及拠点であり、野良猫の生活環境を再現したシミュレーションコミュニティ、さらに野良猫の譲渡・交流プラットフォームでもあります。
この猫島は、もともと浦東新区にありましたが、用地の制約により2025年4月に宝山区へと全面移転しました。現在、第2期工事が進められており、将来的には半野生の放し飼い環境を再現する計画です。敷地内は、野良猫の受け入れ・登録を行う「民事院」、新入り猫のための「隔離区」、病気になりやすい子猫を保護する「幼稚園」、野良猫に関する知識を紹介する科学普及館など、複数のエリアに分かれています。
猫島には、小屋、キャットタワー、ブランコ、巨大な猫じゃらしなど、設備が充実しています。
ここは、流浪する命の避難所であるだけでなく、都市における人と動物の共生をはかる新たなガバナンスモデルを模索する場でもあります。
猫島の野良猫管理は完全なクローズドループ方式を採用し、国際的に認められたTNR(Trap=捕獲、Neuter=不妊手術、Release=元の場所へ戻す)モデルが用いられています。TNRは、人道的かつ効果的な野良猫の個体数を抑制・保護する手法として国際的に認められています。
TNRモデルで野良猫の管理を実施する「猫島」
さらに猫島では、このTNRモデルに加え、譲渡と広報をたくみに組み込み、「捕獲・不妊去勢・放帰・譲渡・啓発」という、より完成度の高い循環モデルを構築しています。SNSや対面イベントなど多様なチャネルを通じて、野良猫の管理や譲渡に関する知識を広め、住民の主体的な参加を促すことで、長期的な管理体制の構築を目指しています。
「上海市文明ペット飼育3カ年行動」のモデル事業として、猫島は「政府の主導・社会の協同・住民の参加」による多元的な共治モデルを採用しています。その核心となる価値は、野良猫に譲渡の場と生存の保障を提供するだけでなく、街・鎮、産業園区、高等教育機関などと連携し、都市の野良猫コミュニティガバナンスの新たな共治モデルを探る点にあります。
関係者によると、このプロジェクトはすでに1756のコミュニティをカバーし、累計7432匹の野良猫に不妊去勢手術を施し、科学的な放帰を実施してきました。これにより、地域における人と猫の調和ある共生が大きく促進されています。
消毒作業を行うスタッフ
猫島の常勤スタッフはわずか4名で、24時間体制で運営に当たっていますが、実際に大きな役割を担っているのは、広範なボランティアネットワークで、中には、毎日12時間もの活動を続ける人もいます。
猫ハウスの塗装を行うボランティア
運営担当者によると、現在、猫島には7つのボランティアグループがあり、登録されたボランティア希望者は累計で約7000人にのぼるものの、継続的に活動できる人材は依然として不足しています。ボランティアに興味のある人は、WeChatアカウント「mdzyz88888」から連絡することができます。活動内容には、猫の世話(給餌・清掃・消毒など)、事務補助(寄付物資の仕分け・整理)、イベント支援(教育普及・地域広報)、ボランティア訪問、オンラインコンテンツ制作など多岐にわたります。特別な技能は不要で、思いやりの心がある人なら誰でも参加できます。
猫島の猫たち
住所:上海市宝山区顧村鎮盛宅村中心宅62号
入場料:無料・予約不要(現場での登録後に入場可)
※ 科学普及館のみ別途料金(20元/人)
アクセス:
・地下鉄7号線「南陳路駅」2号出口
・地下鉄1号線「共富新村駅」4号出口、15号線「顧村公園駅」6号出口からバス828・527路に乗り換え、「泰和新城」停留所で下車、またはバス701路の「泰和西路盛新路」停留所を下車、徒歩5分
開放時間:火曜~日曜 9:30~11:30、13:30~16:30
※ 猫のストレス軽減のため、1回の入場は10名まで
注意事項:
1.安全上の理由から、12歳以上のみ入場可(未成年者は保護者同伴が必要)。
2.無断での餌やりは禁止。外部からペットの持ち込み不可。猫に触れる前は手の消毒を行い、必要に応じて手袋・シューズカバーを持参すること。
出典:WeChat公式アカウント「上海宝山」