「中国インバウンド観光の最初の訪問地」上海――開放性と利便性で、外国人観光客も心地よく
2025年1から11月までの間に、上海は累計で828万人以上のインバウンド観光客を受け入れ、前年同期比で38%以上増加し、「中国インバウンド観光の最初の訪問地」としての地位を保持しています。上海市青少年研究センターなどの機関が発表した関連レポートによると、上海を訪れる外国人観光客のうち、若年層はまた来たいという思いが強く、「リピーター」になる者も少なくありません。では、上海はどのようにしてその魅力を高めてきたのでしょうか。
利便性を土台に――「思い立ったが吉日」の旅を現実に
主要な入国ゲートウェイ都市である上海は、浦東・虹橋の二大国際空港と高密度な高速鉄道網を擁し、交通ハブとしての「ハード面」の実力は広く知られています。しかし、「思い立ったが吉日」の旅を本当に実現できるかどうかを左右するのは、細部に至るまで行き届いた「ソフト面」での体験であることが少なくありません。
上海の旅の快適さは、飛行機が着陸した瞬間から実感できます。浦東国際空港では、外貨両替カウンターや自動両替機で10種類以上の通貨をすぐに両替でき、分かりやすい多言語対応の操作画面によって、両替はまるで飲み物を買うかのように手軽に行えます。地下鉄への乗り換え時には、外国人観光客は海外のクレジットカードを取り出してそのままタッチするだけで改札を通過でき、所要時間はわずか数秒です。現在、上海の地下鉄は全路線で、銀聯・Visa・Mastercardなど主要な銀行・ブランドが発行したICカードによるタッチ決済の試験的導入を進めています。同時に、現金決済に慣れた観光客に対しても、自動券売機による切符購入などの選択肢も引き続き提供しています。
2025年12月30日、上海浦東国際空港で入国手続きをする外国人旅客(写真・VCG)
移動のスムーズさに加え、言語面でも当初想像していたような困難に直面することはほとんどありません。上海市黄浦区の南京東路では、アパレルショップであれ、潮玩(アートトイ)店であれ、ほぼすべての店員が、簡単な英語でサイズや色の確認、商品のおすすめなどのやり取りをすることができます。若い店員が概して流暢な英語を話せるため、翻訳アプリを必要としないことも多いです。こうした便利な環境は、市中心部の主要商業エリアに限られたことではありません。上海市青浦区の朱家角古鎮では、多言語対応の観光案内表示が随所に設置されており、軽食店の店先には手書きの英語で「Rock Sugar Pear(梨の氷砂糖煮込みスープ)」と書かれた看板も見られます。
こうした都市の隅々にまで浸透した便利さは、上海の強力な消費力を大きく活性化しています。「カラのスーツを持って中国へ行く」というフレーズは、すでに海外のSNSで話題となっています。データによると、昨年の1月から11月の間に、上海における出国時税金還付の手続きを行った海外からの旅行者数は前年同期比で156.3%増となり、年間で新たに登録された出国時税金還付の対象店舗は1000店を超えました。
対象店舗で「免税額の即時還付」の手続きを行う外国人観光客(写真・WeChat公式アカウント「上海徐匯」)
文化的な魅力――「名所巡り」から「深い体験」へ
観光客を本当の意味で引き付け、何度も訪れたくさせるのは、往々にして文化体験がもたらす感情の記憶です。近年、海外からの観光客は、ランドマークで記念写真を撮るだけの観光では満足せず、都市の内側に入り込み、体験を通して上海という街を理解しようとするようになっています。
豫園では、漢服を身に纏って散策する外国人観光客の姿をよく目にします。こうした海外からの観光客のニーズは、豫園周辺における漢服体験ビジネスの成長を後押ししており、最近新たに複数の漢服体験店がオープンしています。店舗によっては、外国人客の割合が6割近くに達し、中には7割を超える店もあるといいます。
漢服を身に纏って豫園を散策する外国人観光客(写真・VCG)
多くの外国人客は、SNSの写真を提示して「同じ服」を求め、撮影後には、自分のアカウントに投稿します。これは、観光客による自発的な発信が好循環を生み出していることを意味しています。つまり、中国文化に惹かれて訪れた観光客が、自らの発信を通じて、次の観光客に向けた「招待状」を出しているのです。
また、「物語のある中国の味」も海外からの観光客が中国文化をより深く体験するための新たな窓口となりつつあります。「味・TASTE OF CHINA」や「蜀宴賦」に代表されるこうしたイマーシブ体験ができる店では、衣裳への着替え、パフォーマンス、食事体験が融合しています。体験を終えたブラジルからの観光客、レイサ・ブラズさんは、「中国風の衣装を身にまとい、物語のある料理を味わうと、まるで時空を超えたかのような感覚になる」と感想を述べました。
多面的な魅力のある上海――「また来たい」を支える無限の可能性
上海には、観光客に「一度きり」を「また来たい」へと感じるようにさせる魅力があります。その根底には、上海が持つ尽きることのない新鮮さがあります。多様で厚みのあるコンテンツの供給によって、上海は「明確な目的を持って訪れる旅」にも、「週末にふと出かける気軽な旅」にも応えることができます。
まずは、上海には、世界レベルのエンターテインメント勢力図が形成されているため、世界中の観光客を迎える自信を持っている点です。上海ディズニーリゾートは、世界初の「ズートピア」エリアや「ダッフィー&フレンズ」といった人気IPで人々を引きつけています。上海海昌海洋公園は、豊富なインタラクティブ体験とトレンディーなパフォーマンスで、親子連れや若年層を取り込んでいます。こうした細分化・差別化された配置により、上海はテーマパークにおいて他には真似のできない集積優位を築いています。
上海ディズニーリゾートの「ズートピア」エリア(写真・上海ディズニーリゾート)
また、不断に更新される文化シーンも、上海に活力を与え続けています。上海博物館、浦東美術館、上海当代芸術博物館、西岸美術館といった施設に集積する一流の展示資源は、上海を世界のアートマップにおける重要な拠点へと押し上げています。古典的な歌劇・舞踊劇から前衛的な演劇まで、コンサートからライブハウスまで、さらに、各種の国際芸術祭、映画祭、ファッションウィーク、デザインウィークが次々と開催され、過密ともいえるイベント日程の中で、「一つの展覧会、一つの舞台のために上海へ飛ぶ」ことが日常風景になっています。
2024年7月19日から2025年8月17日まで、上海博物館で開催される「古代エジプト文明展」(写真・WeChat公式アカウント「上海黄浦」)
さらに重要なのは、「上海ライフスタイル」そのものが、いまや国境を越えて注目を集めている点です。アジアの観光客の間では、「金曜の仕事終わりに上海へ行く」ショートトリップが新たなトレンドとなりつつあります。韓国からの観光客の中には、ネイルのためにわざわざ上海に来るひともいます。なぜなら、「ソウルでは一度で1000元(約2万円)かかるが、上海なら300元(約6000円)で驚くほど精緻に仕上げてもらえる」ということです。また、「フルーツ食べ放題」を売りにするスパ施設も、心身を癒す都会の「桃源郷」としてアジアの観光客に人気です。さらに、本場の「本帮麺(本格的な上海麺)」を一杯味わうために上海に足を運ぶ美食家も少なくありません。こうした一見でささやかな日常の魅力こそが、高品質でコストパフォーマンスに優れた都市生活への憧れを映し出すものであり、まさにそれこそが、上海ならではの魅力となっています。
このように多層的で多次元のコンテンツ供給があるからこそ、上海は、年齢・関心・消費スタイルの異なる多様な観光客のニーズに応えることができます。ここには、決まった「正解」は存在しません。しかし、誰もが自分なりの楽しみを見つけることができます。それこそが「思い立ったが吉日」の旅を支える自身の源であり、「また来たい」と思わせる理由でもあります。上海はもはや、「中国インバウンド観光の最初の訪問地」にとどまらず、海外の観光客にとって「何度訪れても新鮮」な都市へとなっています。
出典:青年報