2025年の上海経済データの背後を読む――「消費最大の都市」の底力
2025年1〜11月、上海市の社会消費財小売総額は1兆5212億9300万元に達し、前年同期比5.0%増となりました。
「兆元規模の消費都市」として全国の先頭に立つ上海は、2025年5月以降、単月の社会消費小売額の前年比が継続してプラス成長を維持しており、その伸びは全国平均を上回り、同規模の都市をも凌駕しています。こうしたより力強い成長曲線によって、上海は改めて「消費最大の都市」との問いに答えを示しました。
細分化された分野でチャンピオンが誕生
データによると、1〜11月、上海の化粧品の一定金額以上小売額は1306億900万元に達し、前年同期比5.7%増となりました。この数字は全国の化粧品一定金額以上小売額の30%以上を占めるものでした。
この成果の背後には、上海が消費アップグレードを総合的に推進してきた政策による力があります。
上海は以前から、化粧品を代表とするビューティー産業への消費が多い都市であり、巨大な市場規模とグローバルなモデルとなってきました。特に化粧品の「新商品投入の頻度」や「グローバル同時発売の度合い」は常に消費者の注目を集めています。上海が今年から重点的に推進している「首発経済3.0版」は、まさにこうした潮流と合致しています。
2025年1〜10月、上海では848店舗の新規の「初出店」がオープンしました。上海は全国に先駆けて、輸入消費財の初発表に関する検査手続き簡素化を試行し、今年上半期だけで14社の多国籍企業・20のブランドの2万点以上の新製品が、中国市場にむけて「首発(初発表)の高速レーン」に乗りました。
国際的な消費供給を増やすだけでなく、上海は地元の化粧品産業の発展も支援してきました。フーロン研究院が発表したメイクブランド報告によると、上海は17ブランドがランクインし、他の都市を大きく引き離し、全国トップとなり、国内で最も多くのトップブランドを擁する都市となりました。2025年6月には、中国で初となる化粧品産業向けの税関支援措置が上海の「東方美谷」で施行され、化粧品産業のさらなる規模拡大が期待されています。同年9月、上海市は「化粧品産業の質の高い発展をさらに促進するための若干の措置」を発表し、多くの政策を打ち出し、「上海製」の化粧品ブランドの育成を強化しました。
CBE中国美容博覧会に出展する上海の「東方美谷」(写真・上観新聞)
さらに、小紅書、Bilibiliなど上海に拠点を置くSNSが、地元化粧品ブランドの認知度をさらに高めました。複数のスタートアップ企業が細分化された分野で頭角を現し、業界の新星となっています。
人気の売上への転換
ビザ政策の一層の緩和に伴い、2025年1〜10月の上海のインバウンド観光客数は、昨年1年間の総数をすでに上回りました。また、国内観光客数も過去最高を更新しています。
9月17日夜、外灘で夜景を楽しむ観光客(写真・上観新聞)
これは上海の消費を喚起する強力な原動力となりました。上海では一年を通じてイベントが開催され、高品質で密度の高い消費シーンが、まるで散りばめられた真珠のように存在しています。「文化・観光・商業・スポーツ・展示会」がこれらの消費シーンを効果的につなぎ、「人気を売上へ」と転換する鍵となっています。
「出国時税金還付」制度の最適化により、海外からの観光客の購買意欲もさらに高まりました。統計によると、現在、上海市内の出国時税金還付対象店舗は1700店を超えています。多くの集中払い戻しポイントでは「アプリ上でのワンストップ手続き」が可能となり、払い戻し金はアリペイなどの電子返金で即時入金されます。
統計によると、2025年、上海は179の国と地域の約10万人の旅行者に出国時税金還付手続きを行っています。9月29日時点で、上海の出国時税金還付販売額は前年同期比83.8%増、払い戻し額は82.9%増、そのうち「即購買即還付」の販売額は前年比21倍増加し、出国時税金還付規模は中国各省の中でトップとなっています。
政策が「直送」され、消費の流れを変える
今年の上海の消費データを時期別に比較すると、品目ごとに明確な変化が見られます。季節や市場環境に加え、上海が実施した「消費者に直接届く」誰もが受益できる政策が、各消費品目の増加にさらなる後押しをしています。
2025年第1四半期、一定金額以上の自動車類商品の販売額は322億4300万元にとどまり、前年同期比で大幅に減少し、化粧品や日用品といった「小額品目の消費」と同水準に落ち込みました。2025年4月、上海市は迅速に新政策を打ち出し、自動車買換・更新補助の対象を外地ナンバーの旧車にも拡大しました。また、各区も相次いで独自の「区の補助」を導入したことで、上海の自動車消費に「小さな春」をもたらしました。その結果、上海の自動車販売の落ち込み幅は急速に縮小し、7~9月の単月販売額はいずれも前年同期比プラスに転じ、8月には32.3%増となり、販売の下降トレンドを力強く転換させました。
上海の飲食業収入は2025年に入って回復の傾向を示しています。11月の上海の飲食業収入は153億5900万元で、前年同月比0.5%の微減となり、10月のプラス成長を維持できなかったものの、年初と比べると単月の減少幅は大いに縮小し、年間の飲食収入の推移は総じて上向きです。
この回復を支えたのは、上海が飲食業に対して継続的に打ち出してきた各種の政策です。一方では、上海は飲食業の質の高い発展を促進・改善するための措置が複数回にわたって打ち出され、企業の負担軽減が行われてきました。他方では、上海は資金を投入し、「楽品上海」飲食クーポンを発行することによって、対象企業のプロモーション効果だけでなく、実際に顧客を店へと呼び込む効果がもたらされました。
出典:上観新聞、解放日報